本作はそのスティーヴ・マリオットがリーダーだったスモール・フェイセズの、全曲オリジナル曲で勝負したサード・アルバムです。ややこしいのはファースト・アルバムも同タイトルなんですよね。なのでこちらは「The First Immediate Album」と呼ばれることもあります。
スモール・フェイセズは元々は1965年にデッカ・レコードからデビューするのですが、デッカとの関係が悪くなり、1967年にイミディエイト・レコードへ移籍します。移籍後に発表されたアルバムが本作。一方、デッカ側も未発表曲集「From The Beginning 」を発表。こちらが先行して発売されたのでセカンド・アルバム扱いとなっております。
ますはオープニング・ナンバーから圧倒的にカッコいい。それが①「(Tell Me) Have You Ever Seen Me」。
https://www.youtube.com/watch?v=uo01hnHoYHw
ケニー・ジョーンズの重々しいフロアタム打ちから、スティーヴの軽快なギターとロニーのヘビーなベース、そしてイアン・マクレガンのグルーヴィーなキーボード、どれもが素晴らしい。特にザ・フーのキース・ムーンを思わせるような荒々しいケニーのドラミングは演奏を煽り立ててますね。そして迫力あるスティーヴのヴォーカル。この時代のブリティッシュ系バンドの中でも群を抜くカッコよさです。
イアンのキーボードがフューチャーされたインストナンバーの④「Happy Boys Happy」。
https://www.youtube.com/watch?v=wm0vkuo_mFA
こちらもスティーヴとロニーの共作なんですが、ちょっとジャズテイスト溢れる粋なナンバー。ジョージ・フェイムがやりそうなナンバーですね。この曲なんかを聴くと、スモール・フェイセズは荒々しいだけのバンドではないことがよく分かりますね。
本作にはイアンが作った曲が1曲だけ収録されてます。それが⑬「Up the Wooden Hills to Bedfordshire」。
https://www.youtube.com/watch?v=NtbmYUIwXNA
リード・ヴォーカルもイアン。この曲が意外とクールでカッコいい。もちろんイアンのハモンド・オルガンがフューチャーされてます。短い曲ですがエンディングは3拍子に変化していたり、随所にユニークなアレンジが施されてます。
そのカッコいいマージービートの典型例がエンディングナンバーの⑫「The Games We Play」。
https://www.youtube.com/watch?v=Me3mrkWqSyk
後のエルビス・コステロを彷彿させる弾けるようなビートポップス。サイケが流行っていた1967年にこうしたビートを奏でていたとはちょっと驚き。でも間奏のホーンはこの当時流行っていたソフトロック的なアレンジですね。
それではせっかくなのでサイケナンバーをご紹介しておきます。まずはオープニングの①「Then the Heartaches Begin」。
https://www.youtube.com/watch?v=kXTCbpVEuAQ
随所に場違いなファズ・ギターが如何にもサイケやってます感を無理やり出している感じです。バックコーラスもちょっとサイケ感を感じさせますが、基本はアコギを掻き鳴らしているロック。特にイントロのカッティングギターはモンキーズのライターチームで著名なボイス&ハートの「I Wonder What She's Doing Tonight」風。
もうちょっとドロドロしたサイケを聴きたいですかね(笑)。
イントロだけが妙にサイケ感を強調した③「Water on the Brain」。パーカッションの連打と不思議なコーラスは病み付きになりそう。
https://www.youtube.com/watch?v=C83RrBbQ2aU
ただ間奏のホーンとか、ちょっとポップなセンスが混じっているところはホリーズらしいですね。
キャッチーなナンバーの⑤「Have You Ever Loved Somebody?」はまるで60年代前半のマージービート!
アップした映像、演奏スタイルも下で踊っている方々もかなり時代遅れな印象。1967年というと既にビートルズは「Strawberry Fields Forever」を発表していましたからね。それに比べたらホリーズの進化は止まっていたのかも。
ワルツのリズムが効果的な⑧「Heading for a Fall」。
https://www.youtube.com/watch?v=0lihfzkR2o8
これも当時流行った楽器、シタールを用いてサイケな感じを醸し出してますが、コーラスなんかはキャッチーで、今一つサイケ・ミュージックになり切れない。これもホリーズらしい1曲ですね。
何だかんだ言っても⑩「When Your Light's Turned On」のようなホリーズの楽曲は大好きなんですよね~。
https://www.youtube.com/watch?v=UshasuFnM5A
本作の先行シングルは、ザル脱退前の1967年4月にリリースされた④「Six O'Clock」かと思いますが、1967年10月にリリースされた①「She Is Still a Mystery」が、ジェリーが加わり制作されたという点で先行シングルと云えます。
相変わらずジョンのポップセンスが十二分に発揮されてますね~。よく聴くといろいろな楽器が使われていることが分かるし、エンディングのコーラスも効果的。アレンジは明らかにビーチボーイズの「ペットサウンズ」からの影響が窺えますね。まだまだジョンの「音楽の魔法」は生きております。
アップしたエド・サリバン・ショーからの演奏シーン、ジョンは変な楽器を使ってます。
1968年5月10日のサスケハナ大学でのライブを最後にジョンはラヴィン・スプーンフルを脱退し、ソロ活動を開始。1970年には「John B Sebastian」を発表します。一方のジョーとスティーヴは、驚くべきことに今もラヴィン・スプーンフルとして活動しているようですね。
]]>Rolling Stones「Between the Buttons」(1967)http://y240.exblog.jp/32804496/2022-11-05T06:00:00+09:002022-12-15T06:12:03+09:002022-11-05T06:00:10+09:00240_81967
「リボルバー」の発売は1966年8月。そしてビートルズの好敵手でもあったローリング・ストーンズが本作のレコ―ディングを開始したのも1966年8月。その後、11月、12月と断続的に本作のレコ―ディングが行われ、英国では5枚目のアルバムとして1967年1月に発表されてます。
ストーンズがボ・ディドリーから大きな影響を受けていることは周知の事実かと思いますが、そのボ・ディドリーのビートをオリジナル作品に取り入れた意欲作が⑧「Please Go Home」。正直、誰もこの作品に注意を払わないかもしれませんが、個人的にはこの曲、ボ・ディドリー・ビート(通称ジャングル・ビート)に乗っけてサイケでヘビーなサウンドに仕上げた佳曲と思ってます。もちろんこのサウンドメイクはブライアン・ジョーンズ。ブライアンはここではメロトロンとテルミンを演奏してます。ワンパターンなドラミングのチャーリーも、ここではヘビーに、かつリズミカルに叩いてますね。アップした映像も、敢えてサイケなものをチョイスしました。
]]>The Young Rascals「Collections」(1967)http://y240.exblog.jp/32672947/2022-07-30T06:03:00+09:002023-05-13T14:40:21+09:002022-07-30T06:03:26+09:00240_81967
バディ・ジョンソン作のR&Bバラードの②「Since I Fell For You」はエディの独壇場。
原曲はバディの姉のエラ・ジョンソンが1947年に歌ったものですが、この曲が広く知られることになったのは、1963年にレニー・ウェルチがヒットさせたバージョン。恐らくエディもこちらのバージョンでこの曲を知ったと思われます。レニーのバージョンは、かなりジャージーなアレンジですが、それをラスカルズは完全にR&Bバラードに仕立ててしまってます。そしてエディの熱唱、ソウルフルなヴォーカルがあまりにも素晴らしい。フェリックスのオルガンもいいですね。
せっかくなのでエディの熱唱映像をどうぞ。エディ、意外と背が小さい? ギターのジーン・コーニッシュは容姿がビーチボーイズのカール・ウィルソンに見えてしょうがない(苦笑)。
かなりいろいろな意味で濃いアルバムですよね。
ヤング・ラスカルズとしては、R&Bを自らの音楽に昇華したアルバムの次作「Groovin'」が最終地点となり、バンド名をラスカルズへ変更。4枚目の「Once Upon a Dream」ではビートルズのサージェント.ペパーズの影響からサウンドも、R&Bをベースとしながらも凝った作りへと変貌を遂げていきます。
このラスカルズ時代も結構好きだったりします。そろそろ「Once Upon a Dream」も記事にしないといけませんね…。
]]>Cream「Disraeli Gears」(1967)http://y240.exblog.jp/30486557/2019-10-12T16:08:00+09:002019-10-12T16:08:20+09:002019-10-12T16:08:20+09:00240_81967
実は本作で一番驚いたのが④「Dance The Night Away」。ジャック作の楽曲ですが、何と言ってもエリックの12弦ギターがバーズっぽい。当時、ラガ・ロックって流行ってましたからね。でもクリームがラガ・ロックやっていたとは。
⑥「Tales of Brave Ulysses」、邦題「英雄ユリシーズ」、この曲、次作に収録される「White Room」にどことなく似ています…。エリックの作品ですが、エリックはラヴィン・スプーンフルの「Summer In The City」に着想を得たらしい。スリリングな展開は確かに似ています。リード・ヴォーカルはジャック。
ポップでハードな⑦「SWLABR」は人気の高いナンバー。このタイトル、「She walks like a bearded rainbow」の頭文字から取ったとのこと。ブルース中心のクリームは取っつきにくいという方も、この曲には少しくらい親しみが湧くのでは。
ビーチボーイズといえば「サーフィンUSA」のような、どこまでも明るいロックンロールとコーラス。そういった音楽を期待するリスナーを思いっきり裏切るような①「Wild Honey」。アルバムトップからR&B色の濃い楽曲。リードヴォーカルはカール・ウィルソン。この時、若干20歳。まだまだヴォーカルには青白い部分が見られます。間奏のオルガンソロもなんだか不思議なソロです。
初期ビーチボーイズと「ペットサウンズ」のビーチボーイズは、別の音楽と考えてもいいかもしれません。この④「Country Air」は「ペットサウンズ」を好む方からすれば、名曲に聴こえるかもしれません。実に不思議な楽曲です。この楽曲にはずっと低く鳴っているノイズが入ってます。これが意図的に入れているのは明らかで、ブライアンにはそういった音も表現のひとつと捉えていたと思われます。
もしビーチボーイズは断然初期が大好きという方がいれば、この⑥「Darin'」が本作では唯一気に入って頂ける楽曲かもしれません。当時はこの「Darin'」だけを聴くために、本作を買ったという方も多かったかも。実はこの曲、1963年にブライアンとマイクが作った楽曲で、当時のタイトルは「Thinkin' About You Baby」。マイクのガールフレンドだったシャロン・マリーに提供した楽曲でしたが、全くの不発。後のスリードッグナイトのレッドウッドに提供しようとしましたが、それも幻に終わり、ようやくここに陽の目を見たという楽曲。それにしては超名曲です。私はすべてのビーチボーイズの楽曲の中でも、5本の指に入る名曲と信じてます。この曲、ドラムのフィルが随分上手いなあと思ったものです。デニス・ウィルソンのドラムって、ものすごく走るんですが、ここでのドラムはタイトに、グルーヴ感を醸しだした名演。実は叩いているのはハル・ブレイン…、やっぱりなあって感じです。この当時のカールのヴォーカルはまだまだ成熟していませんが、後にライヴではハイライトとなる名曲。原曲の下にアップした映像は1980年のネプワーズでの名演なんですが、カールの歌の上手いこと!しかもカッコいい。やっぱりデニスのドラム、走ってますね~。
「ペットサウンズ」の流れを汲んだ⑨「Let The Wind Blow」。イントロの暗さ(笑)。これが「ペットサウンズ」ですね~。恐らくブライアン以外にこのテの曲は作れないでしょう。どういった発想で、こんな曲が作れるのか。バックの演奏も素晴らしいし、本作の白眉と言っていいかもしれません。
本作のエンディングで、ようやく、ようやくホッとさせられるのが⑪「Mama Says」。これは「スマイル」に収録された「ヴェジタブル」という楽曲の一部。当時は未発表だった「スマイル」、ここで素晴らしい音源の一部が発表されたんですね。全編素晴らしいアカペラです。
よく考えたら、夏らしいアルバムではなかったですね(苦笑)。ビーチボーイズはこれから苦難の道を歩むのですが、数年後にライブバンドとして復活します。70年代のビーチボーイズも個人的には大好きです。
]]>Monkees 「Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd.」 (1967)http://y240.exblog.jp/30290699/2019-05-25T15:25:00+09:002019-05-25T15:44:18+09:002019-05-25T15:25:06+09:00240_81967
ということでここ最近、モンキーズのアルバムを聴き返していたのですが、拙ブログでは既にすべてのモンキーズのアルバムをご紹介済。ただし今回ご紹介するこのアルバムの記事だけはあまりに内容が薄かったので、改めてレビューし直しておきます。そのアルバムは「Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd.」。長ったらしいタイトルですよね。コレ、メンバーの星座を表したもので、マイク・ネスミスとディビー・ジョーンズが同じ誕生日(12月30日)で、同じ星座なので、Davy JonesのJonesだけがタイトルに付け加えられてます。
私の大好きな1曲の③「The Door into Summer」もマイクがリードヴォーカルを務めるナンバー。モンキーズのリードヴォーカルはディビーかミッキー・ドレンツが定番ですが、このアルバムでは実はマイクが全13曲中、5曲もリードを取ってます。音楽的性能に優れたマイクがイニシアティブを取り始めたとも言えなくもないです。チップ・ダグラスとビル・マーティンの共作。ドラムはエディ・ホーですが、ミッキーもクレジットされてます。セカンドバースからドラムがダブルトラックとなるので、そこでミッキーが叩いていると思われます。ちょっとクールなキーボードはピーター。もちろん曲名は、ロバート・ハインラインの同名作品本から取られたタイトルです。60年代後期の秀逸はポップスですね。
モンキーズのパートナーともいえるボイス&ハートの作品の⑥「Words」は、邦題「恋の合言葉」として有名な作品。後にご紹介する「Pleasant Valley Sunday」と両A面扱いでシングル発売された、この当時流行っていたサイケ感覚満載のスリリングなナンバーです。
アップした映像の通り、リードはミッキー。コーラスはピーター。デイビーがドラムを叩いてますが、実際のドラムはミッキー。ピーターはギターを弾いてますが、実際はベースとハモンドオルガンを弾いてます。なかなか時代を反映した名曲かと思います。
すべてのモンキーズの作品のなかでも、マイベスト5に数えられるナンバーが⑦「Hard To Believe」。この曲を知っている人って殆どいないと思います。アルバムの中の地味な1曲なので。でもとても秀逸なポップスナンバーだと思ってます。リードヴォーカルのディビーと新進気鋭のKim Capli等の作品。実にメロディアスなメロディにリズムがボッサというアレンジがお気に入りです。ベースラインも素敵です。実はこのバックの演奏、ほとんどすべてが作者のKim Capliという方。ドラムやベース、ギター、全てです。トルコのミュージシャンのようで、当時はThe Sundowners、つまりモンキーズのコンサートの前座をやっていたバンドなんですが、ここに在籍していたらしい。だから作品提供出来たんですね。
一瞬マイクのオリジナル作品か…と思ってしまうほど、軽快なカントリーナンバーの⑧「What Am I Doing Hangin' 'Round?」は、マイクとは旧友のMichael Martin MurpheyとOwens Castlemanの作品。素晴らしいカントリーソングです。
マイケル・マーフィーは今ではカントリー界の大御所として君臨している方。この当時はまだまだ駆け出しの存在だった筈で、マイクが(作品も素晴らしかったとは思いますが)敢えて友人のナンバーを取り上げたものと推察します。ここでのバンジョーはダグ・ディラードです。彼がジーン・クラークと結成したバンドのアルバムは既にご紹介済ですね。
ジェリーゴフィンとキャロル・キングの作品の⑩「Pleasant Valley Sunday」。キャロル・キングは奇遇にも前回ご紹介したシンガーソングライターですね。実はキャロルもモンキーズに結構楽曲提供してます。その中でもこの曲は、ガレージロック風の名曲かと。ラガロック風のギターなんか、最高ですね~。このギターもマイクが演奏してます。モンキーズは演奏出来ない…なんて言われてますが、実は決してそんなことはありませんし、特にマイクとピーターは相当な実力者です。
ちなみにキャロル自身がセルフカバーした映像もありましたので、アップしておきます(こっちも最高!)。
マイクの作品が続きます。⑪「Daily Nightly」はミッキーが使い方も分からずに購入、弾いたムーグがいい味出してます。所謂サイケ・ソング。続く⑫「Don't Call On Me」はパーティー会場の効果音がイントロとエンディングで使われたムーディーな楽曲。リードヴォーカルはマイク。両曲共、こちらもマイク本来のカントリーソングではありません。マイクの懐の深さが分かります。
彼等の4枚目のアルバム「Triangle」は、レニー・ワロンカーのプロデュース、そしてヴァン・ダイク・パークス、ランディ・ニューマンなんかが関与しており、本作は後に、バーバンク・サウンドの礎を築いた1枚とも云われるようになりました。
ちょっとノスタルジックでカントリーフレイヴァーたっぷりの①「Are You Happy ?」。楽曲はのどかなムードたっぷりなのに、サルのヴォーカル、クセのあるなあ~(笑)。
本作1曲目、一瞬イントロからヤードバーズの「For Your Love」を連想させる①「Don't Cry, No Fears, No Tears Comin' Your Way」。メンバーのトムとドンの共作。Aメロはちょっと怪しげな雰囲気を醸しだしているのに、サビはサークルらしくポップです。随所に顔を出すシタールの音色が印象的。やはりサウンド・アレンジは秀逸ですね。
ビートルズのカバーの⑧「I'm Happy Just To Dance With You」。でも単なるカバーではありません。転調しまくるのです。この曲だけ聴いても、彼等が只者ではないと理解できるかと思います。
原曲を知っているだけに、この不思議な音程は歌いづらい(笑)。ここでもシタールが不思議な音を出しておりますね。
Susan Haberという方の作品の⑩「Please Don't Ever Leave Me」。これもメロディとコーラスがいいですね。
]]>Wes Montgomery 「A Day In The Life」 (1967)http://y240.exblog.jp/27676809/2017-09-23T15:41:00+09:002017-09-23T15:41:20+09:002017-09-23T15:41:20+09:00240_81967
その後、クリード・テイラーがA&Mへ移籍し、新たに新しいジャズを発表すべくCTIレーベルを設立。当然、そこの看板スターはウェスであり、CTIレーベルから「A Day In The Life」「Down Here on the Ground」「Road Song」を発表。3枚ともドン・セベスキーの編曲・指揮によるゴージャスなジャズ・アルバムに仕上がり、後にイージーリスニングのはしり、フュージョンの先駆けとも呼ばれるようになったのでした。
アルバムトップはビートルズのカバー、①「A Day in the Life」。もちろん名作サージェントペパーズに収録されていた名作なんですが、サージェントは発表が1967年6月。そしてなんと本作レコーディングも1967年6月!つまりビートルズのアルバム発表と同時に、すぐにカバーされたということなんですね。
混沌とした雰囲気はオーケストラでもうまく表現されてますし、ウェスのアドリブも冴え渡ってます。この曲については、気楽に聴けるイージーリスニングとは一線を画す、ちょっと緊張感も入り混じった仕上がりですね。
②「Watch What Happens」は良質なイージーリスニング調の楽曲。もともとは1963年の映画「シェルブールの雨傘」で使われた楽曲。フランスを代表する作曲家、ミシェル・ルグランの曲です。原曲はミシェルが率いるオーケストラが、優雅に、ノスタルジックに仕上げたナンバー。ウェスはそれをかなり小粋なイージーリスニング調にアレンジ。個人的には原曲よりも素晴らしい出来栄えと思ってます。
これからの活躍が大いに期待された1968年6月15日、ウェスは心臓発作でこの世を去ってしまいます。彼が生きていたら、ひょっとしたらジャズやフュージョンの歴史がまた少し変わっていったかもしれません。残念ですね。
]]>The Who 「The Who Sell Out」 (1967)http://y240.exblog.jp/26161279/2016-11-19T10:26:00+09:002019-12-13T21:24:17+09:002016-11-19T10:26:10+09:00240_81967
まずイントロからしてビックリ。前述の通り放送局のジングルですね。それに続くサウンドはノイジーで、ちょっとサイケなロックナンバーの①「Armenia City in the Sky」。この曲のみメンバー以外の作品で、スピーディ・キーンの作品。彼は後にサンダークラップ・ニューマン(ウィングスに加わるジミー・マッカロウも在籍)を結成し、「Something In The Air」のヒット曲を生み出します。それにしてもパワフルな楽曲です。キースのドラムはバタバタしているし、それ以上にジョン・エントウィッスルのベースが唸りをあげており、この曲の潜在的なパワーを引き出すことに成功してますね。間奏の逆回転テープ風なサウンドは、まさにサイケ。カッコいいです。
実にポップな⑥「Our Love Was」。間奏の♪Love,Love,Love…♪ってコーラスが実にチャーミング。個人的にはその部分、ドリカムを連想させて、ニヤッとさせられます。またこんなポップな曲なのに、なんでキースのドラムって荒々しいんだろうって、またまたニヤッと。でもよく聴くと、そのパーカッシブなプレイは、ひょっとしたらペットサウンズのハル・ブレインのプレイに影響されたのではないかと。またピートのギターの音色や、そもそも楽曲のテイストもペット・サウンズからの影響を感じさせます。
本作中、これぞザ・フーという楽曲が⑦「I Can See for Miles」でしょう。邦題「恋のマジック・アイ」。イントロからキースのダイナミックなドラムと、緊張感あるコード進行。聴けば聴くほどカッコいい名曲ですね。もちろんシングルカットされた楽曲ですが、やっぱりこのアルバムの流れの中で聴く「I Can See for Miles」がいい。
そしてアップする映像はやっぱり演奏シーンが映ったものがいいですね(口パクですが)。とにかくやたらとキースが目立ちます。しかも途中でスティックを落とすシーンまで映ってます(笑)。ちなみにキースのドラムセット、ハイハットがありません。彼はリズムを刻むのにハイハットではなく、シンバルを使うので、うるさいんですね。
本作を語る上では必ず取り上げられる①「Alone Again Or」。それはやっぱりマリアッチ(メキシコ音楽)風なサウンド構成が素晴らしいからであり、イントロから緊張感のあるアコギとオケ、そして間奏のトランペットがそのマリアッチ風サウンドを盛り上げてます。この曲、実はアーサー・リーの作品ではなく、ブライアン・マクリーンのペンによるもの。アレンジもオーケストラを担当したデヴィッド・エンジェルと仕上げたというから、やっぱり彼のセンスも相当なものだと思われます。
①のマリアッチ風サウンドは、⑦「Maybe the People Would Be the Times or Between Clark and Hilldale」でも聞かれます。これらはブルース・ボトニックのアイデアでもあったらしいですが、やっぱりアーサーの書く曲も素晴らしかったのでしょう。
非常に穏やかでソフトロックな⑨「The Good Humor Man He Sees Everything Like This」はオーケストレーションが素晴らしい。エンディングではなぜか針飛びを起こしてしまいます。もちろん作為的ですが、穏やかなままでは終わらせない…といった意図を感じさせます。
個人的には本作のハイライトはエンディングトラックの⑪「You Set the Scene」かなと思ってます。後期ビートルズの影響を受けたメロディ、組曲風なアレンジ、絶妙なオーケストレーション、どれも素晴らしい。エンディングに相応しい仰々しいアレンジは、この時代に流行っていたような気がします。
アップしたのは2003年のステージング。いやいや、素晴らしいですね~。アーサー・リーはこの3年後に亡くなっていますが、ここでのステージング、力強いし、原曲通り忠実な再現にビックリです。
このグレイスが、新たにバンドに変化をもたらします。彼女が持ち寄った曲は3曲。その内の2曲が②「Somebody To Love」と⑩「White Rabbit」で、この2曲がバンドのイメージを決定付けてしまいます。
②「Somebody To Love」は見事にシングルヒット作となります。しっかりヒッピーなサイケ感を盛り込みつつ、力強いロックな演奏、実はサビのメロディもキャッチーと、時代の流れを読んだヒット曲をいえるかもしれません。一度聴いたら忘れられないような楽曲です。
そして⑩「White Rabbit」。White Rabbitって麻薬の隠語らしいのですが、歌詞は「不思議の国のアリス」をモチーフとしたもので、楽曲自体も「Somebody To Love」よりサイケしてます。アップした映像も見事にサイケサイケで、実にスリリング! それにグレイス、凄みがありますよね。
それにしてもこのバンド、イメージ先行でじっくり聴くと、実はイメージとは違うバンドであることが分かってきます。アルバムトップの曲、①「She Has Funny Cars」はスペンサー・ドライデンのリズミカルで軽快なドラムソロから始まる曲。ヴォーカルが入る前のギターのリフは、どことなくモンキーズのデビュー曲「恋の終列車」を連想させます(時期的には合っているし)。バックの演奏は、恐らくこの当時のバンドの中でもかなり上手いと思います。しっかりした演奏、男女混合ヴォーカルの、この当時らしいロックナンバー。
それにしても意表を付かれたのが③「My Best Friend」。この作品はデビューアルバムでドラムを叩いていたスキップ・スペンスの作品。実にフォーキーで、これこそ男女混成コーラスが冴えていて、ママス&パパスっぽい。サイケなイメージでこの曲を聴くと、ジェファーソン・エアプレインの曲??って思ってしまいますね。当時のウエストコーストロックって、ジェファーソン・エアプレイン、ママス&パパス、グレイトフル・デッド、ドアーズなんかが活躍しており、当然ながら彼らの中でも交流はあっただろうなと思われます。
ポール・カントナーの曲もご紹介しておきます。⑧「How Do You Feel」。これもフォーキーで、コーラスが生かされてますね。印象的にメロディを奏でているのはフルートでしょうか。フォーク好きのポールらしい1曲。