ベンの誉れ高きライブ名盤!どうしても日本での知名度が低いベン・シドラン。でも特に70年代のベンの作品はAOR・フュージョンファンの方々にはどれもお薦めなんですよね。
そんな70年代のベン作品、このライブ盤は未聴で以前から気になってましたが、今回ヤフオクで安く購入することが出来ました。
本作、なにが凄いかというと、その時のアリスタ・オールスターズが演奏しているんです。
メンバーは以下の通り。
Ben Sidran(p,vo)
Tony Levin(b)
Steve Jordan(ds)
Steve Khan(g)
Mike Mainieri(vib)
Michael Brecker(ts)
Randy Brecker(tp)
いやいや、凄い面子です。ジャズ・フュージョンファン必聴ですね~。ベンはその立ち位置が非常に微妙なので、CD屋でもジャズコーナーにあったり、ロックコーナーにあったり、その扱いはバラバラです。本作はどちらかというとジャズ・フュージョン寄りですかね。
①「Eat It」はベンがトニー・ウィリアムスに捧げたオリジナルでファンキーな曲。この曲のみならず、本作のキーはスティーヴ・ジョーダン&トニー・レヴィンの強烈なリズム隊にあると思います。スティーヴは現在はジョン・メイヤーといい仕事をしてますね。またトニーはこの後、キング・クリムゾンに加わりますが、その直前のプレイということで、粒立ちのはっきりした強烈なプレイを聴かせてます。
「Eat It」は後半、マイク・マイニエリがこれも素晴らしいソロを聴かせてくれます。ヴィヴラフォーンの心地よい音に対して、それを強烈なリズム隊が煽りまくります。これは凄い!
④「Someday My Prince Will Come」。ご存知ディズニー映画「白雪姫」のテーマソングですね。イントロのベンの力強いピアノのタッチプレイを聴いただけでは「いつか王子様が」とは思いませんでした。ノロノロと入ってくるマイケル・ブレッカーの吹くメロディで分かりました。
マイケルのブロウしまくるソロ、いいですね~。観客も拍手喝采です。
そして続くベンのピアノソロ。やはりこの人は「ドクター・ジャズ」と言われるだけあって、ジャズタッチのソロは十八番ですね。
スティーヴ&トニーのリズム隊による、若干ファンク色の入った新解釈の本作「いつか王子様が」もいいですよ。
⑤「Midnight Tango/Walking With The Blues」でのベンのヴォーカルを聴くと、マイケル・フランクスを連想してしまいます。この曲、題名の通りタンゴっぽいリズムからサンバへ、流れるように展開される曲ですが、曲調もマイケル・フランクスっぽいです。両者ともヘタウマ的な、味のあるヴォーカリスト、かつ博識のある人物ですね。
この後半の強烈なサンバのリズム、マイケルのソロ、そしてトニーの鋭いベース、これを生で見ていた観客はさぞかし至福の時間を過ごしたことでしょうね。
最後はビートルズの「Come Together」。ここではスティーヴ・カーンの効果的なギターが印象的です。またマイケルのソロはいつになく力が入ってますね。
以前ご紹介した
「ノルウェーの森」でも感じましたが、ビートルズのカバーを演奏している時のミュージシャンはホント楽しそうに演奏してますね。
あっという間にこのライブ盤、終わってしまいますが、この素晴らしきミュージシャンを束ねたベンの力量に改めて驚いた次第です。