ソフトロックの超名盤!山下達郎氏のサンソンは3週連続で「Roger Nichols」の特集でしたね。至福のときでした・・・。
ロジャー・ニコルズの作品といえばカーペンターズ。そしてロジャーのリーダー作品であり、ソフトロックの孤高の名盤が本作。
これ、発表は1968年なのに日本での発売はなんと1987年!米国でもほとんど話題にならなかったようなので、仕方ないでしょうね。1968年当時はベトナム戦争等の世相の影響で、サイケデリック音楽が流行っており、斯かる音楽は敬遠されていたといわれてます。でも1968年の全米No.1ヒットソングを見てみると、ポールモーリアの「恋はみずいろ」とかS&Gの「ミセス・ロビンソン」などの楽曲が混じっているので、それだけが原因とも思えませんね。
さて本作の主人公はロジャー、ロジャーの同級生のマレイ・マクリオード、マレイの妹のメリンダの3人組です。
そしてプロデューサーはトミー・リピューマ。アレンジャーはニック・デカロ、マーティ・ペイチ(息子はご存知TOTOのデヴィッド・ペイチですね)、ボブ・トンプソン、モート・ガースン。
全12曲の珠玉の名曲群。オリジナルは6曲。4曲のロジャーの曲に詞を載せているのは、あのペットサウンズでブライアンと組んだトニー・アッシャー!この頃はポール・ウィリアムスとのコラボはありません。
そしてこの印象深いジャケは、たまたま通りがかった女性を撮ったもので、メンバーも彼女が誰か分からないようです。
これらの情報だけでも本作が只者でない雰囲気を漂わせてますね(でも1987年までは一部マニアの音楽だったんですよね)。
①「
Don't Take Your Time」のイントロ!
これはヴァイオリンのピチカート奏法と呼ばれるもので、こんな奏法をポップソングに持ち込んだアレンジには脱帽です。メロディも斬新。間奏のブラスソロ、流れるようなコーラス、これぞソフトロックですね~。
ビートルズのカバー②「
With A Little Help From My Friends」、⑨「I'll Be Back」、私の大好きなラヴィン・スプーンフルのカバー⑩「Cocoanut Grove」、⑫「Didn't Want To Have To Do It」。これらのアレンジやコーラスワークは美しいですね。原曲を崩している訳ではないのですが、完全にロジャニコの世界になってます。
https://www.youtube.com/watch?v=3aCCzgHNPKs白眉は⑥「
Love So Fine」。全てが小西康陽氏率いるピチカート・ファイブです。2分ない曲ですが、ポップスの素晴らしさが詰まってます。ニック・デカロの素敵なアレンジが魅力的な軽快なポップスですね。力強いドラムもいい。本作のミュージシャンのクレジットがないので分かりませんが、ドラムはハル・ブレインでしょうか??どなたか分かる方がいらっしゃればご教示頂ければ幸いです。
そういえば本作が再びクローズアップされたのは小西氏の尽力によるところも大きいですね。初CD化された際は彼がライナーノーツを書いてました。
⑧「Just Beyond Your Smile」も私のお気に入りです。軽快なポップスで、ストリングスアレンジがいいですね。
本作は成功には程遠いセールスでしたが、やはりいい楽曲は誰かが注目するものです。銀行のCM用に書いた「We've Only Just Begun」をリチャード・カーペンターが気に入り、カーペンターズが見事にヒットさせます。
ちなみにカーペンターズは鉄壁のリズム隊、つまりドラムにハル・ブレイン、ベースにジョー・オズボーンを擁していましたが、ロジャーの曲は、彼等が演奏すると一層引き立つような気がします。モンキーズのロジャー作「Someday Man」も同じリズム隊ですね。
これぞ名盤。素敵なアルバムです。