ロック史に残る金字塔的アルバム!昨日紹介したノラ・ジョーンズを聴いていたら、無性にザ・バンドを聴きたくなってしまいました。
ザ・バンドは既にこのブログでも
ファーストアルバムを紹介済ですね。ルーツ・オブ・アメリカを純粋に追求し、無骨なまでにその意思を貫いたバンドですが、特にファーストアルバムとセカンドアルバムは名盤に相応しい、最高のものです。
その後ザ・バンドは数枚のアルバムを発表。そして1975年に本作を発表します。

根っからのザ・バンド好きには本作は問題作として捉えられているようです。ロビー・ロバートソン単独の作品群、多用されたキーボード等。素朴な音作りから、計算された音作りへと変貌しており、初期のファンには「これはザ・バンドではない」と思われるかもしれません。
しかしそれでも私は本作は素晴らしい作品だと思います。
一般的に本作を名盤たらしめている所以は④「Acadian Driftwood」と⑥「It Makes No Difference」の存在でしょう(本作を紹介している殆どの記事は、この2曲を紹介してますね)。
④は邦題「アケイディアの流木」。1759年にカナダのノヴァ・スコシアを追われたアケイディアの農民を描いた作品で、ザ・バンド自身を重ね合わせたもの。
初期作品の香り漂うダウンアース的な作品ですが、ガース・ハドソンのピッコロ、ゲスト参加のバイロン・バーラインのフィドル等音作りは多様性を見せてます。
そしてザ・バンドには3人の素晴らしいヴォーカリストが存在しますが、この作品はその3人、リヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルが歌い回しをします。これがまたいい。
こうした南部の香り漂う作品を見事なまでに仕立て上げる技は、超一級品ですね。
⑥は哀愁漂うメロディとリック・ダンコのヴォーカルがあまりに素晴らしい。④と⑥は他の記事でもいろいろ言及されているので、この場でまた語るのは野暮ですね。
しかし本作を最初に聴いたときは驚いたものです。そうです、①「Forbidden Fruit」のイントロ。ロビーの変人的なギター。このサウンドはなんだ??ザ・バンド??と思ったものです。キーボードもギターも実はかなり練られた音の重なりで、計算され尽くしたサウンドに感動したものです。
またリチャード・マニュエルの唄う②「Hobo Jungle」が私は大好きです。アメリカの演歌をリチャードに歌われると堪りません。秋の澄んだ夜道にこれを聴くと胸に染みるんですよね。最高です。
しっとりムードから一転、③「Ophelia」は陽気なザ・バンドですね。こうした楽曲にはリヴォンのヴォーカルが合います。ボードビル調の曲ですが、これもよく聴くと緻密なアレンジですね。
⑤「Ring Your Bell」のファンキー色もザ・バンドにしては異色です。イントロのベースラインには驚かされます。このノリも好きですね~。
ザ・バンドはこの後崩壊していきます。完成された作品を発表すると、多くは崩壊の道を進んでいきますね。もうリックもリチャードもこの世には居りません。④「Acadian Driftwood」や⑥「It Makes No Difference」のような素晴らしい楽曲を聴かせてくれるザ・バンドのようなバンドがなかなか現れないのが寂しいですね。