日本のニューミュージック史にも影響を与えたJ.T.四枚目のバンドサウンドアルバムジェイムス・テイラー。私の大好きなアーチストです。J.T.はAsylumレーベルではありませんが、フォーキーな部分が似たような肌触りに感じられます。実際Asylum系ミュージシャンとは親しい関係にあり、J.D.サウザーとは1981年に「憶い出の町(Her Town Too)」でデュエットまで披露してます。
さて本作は1972年12月に発表されたJ.T.四枚目のアルバム。J.T.のなかでは地味なアルバムかもしれませんね。
バックはセクションの面々。ダニー・クーチ、ラス・カンケル、リーランド・スクラー、クレイグ・ターギーの4人ですね。非常にリラックスしたムードでレコーディングされており、妙な緊張感はありません。
①「One Man Parade」ではちょっとラテンタッチのバンドサウンドを聞かせます。
セクションのバンドサウンドは、邦楽グループの祖、はっぴいえんどに多大な影響を与えてます。①のみならず、このアルバムを通じて素敵なバンドサウンドが聴けます。
下の写真は当時の裏ジャケットです。
楽しそうに演奏していると思いませんか?アレンジなんかは、ワイワイ言いながらバンドで固めていったんでしょうね。
②「Nobody But You」はJ.T.らしい切ないメロディラインが魅力。こうした落ち着いた曲にはJ.T.のヴォーカルがぴったり合いますね。
本作品中、というかJ.T.全作品のなかでもベスト5に入る白眉ソング、⑧「Don't Let Me Be Lonely Tonight」。これは泣けます。J.T.のヴォーカル、歌詞、メロディ、どれも素敵です。そしてマイケル・ブレッカーのサックス・ソロ…。わずか2分30秒の世界ですが、秋の夜長にぴったりの曲。
ちなみにこの曲は多くのカバーが存在してますが、最近では2000年にあのエリック・クラプトンが「Reptile」のなかでカバー。ドラム:スティーヴ・ガッド、ベース:ネイザン・イースト、ピアノ:ジョー・サンプル、バック・ヴォーカル:インプレッションズという豪華な演奏に、クラプトンが渋いヴォーカルと泣きのギターを聴かせます。
⑩「One Morning in May」はトラディショナル・ソング。リンダ・ロンシュタットが素晴らしいデュエットを聞かせます。この時代リンダは至るところに登場しますね。
⑬~⑱はブラスも交えた見事なメドロー形式で流れていきます。
本作はキャッチーな曲が少ないので地味な印象のアルバムですが、J.T.の素晴らしいメロディが満載のアルバムなのです。この後のAOR系サウンドへ変化したJ.T.も大好きですし、初期のフォーキーなJ.T.も大好きです。