ダニー・ハザウェイの臨場感溢れるライヴの名盤!
ライヴアルバムの名盤を挙げていくと必ず上位にランクされる名盤。
私の愛読書であるローリングストーン・レコードガイドブックでは、なぜか三ツ星(五ツ星が満点)評価であることが非常に不思議です。
ダニーについては皆さん、よくご存知とは思いますが、70年代に活躍した黒人アーチストです。このライヴではヴォーカルはもちろん、浮遊感のあるキーボードプレイが聴けます。

メンバーはギターにPhil Upchurch(①~④)、Cornell Dupree(⑤~⑧)、ベースにWillie Weeks、ドラムにFred White、パーカッションにEarl Derouen。
凄いメンバーです。Phil、Cornell、Willieはあえて何の説明も不要でしょう。Fredはこの時、若干16歳!!!。のちにEW&Fへ加入しますが、実はEW&Fのホワイト兄弟の四男です。リーダーであるモーリス・ホワイトの実弟だったんですね。
本作はWillie、Fredの強力なリズム隊に、Donny・Phil・Cornell、Earlが気持ちよく乗っかり、ファンキーであり、繊細な演奏を聞かせます。
マーヴィン・ゲイの①「What's Goin' On」のイントロ、ダニーの浮遊感あるエレピにタイトなドラム、自由に飛び回るベースライン、フュージョンっぽいギター。
もう30年以上前の録音なのに、妙に臨場感に溢れ、R&Bがジャズとクロスオーバーしたような熱い演奏です!
熱い演奏といえば②「The Ghetto」と⑧「Voices Inside」でしょうか。ともにアドリブを交えた長時間の演奏です。
「The Ghetto」はファンキーな演奏ながら、ダニーのエレピとフィルのギターがフュージョンっぽくって、古臭さを感じさせません。パーカッションが盛り上げ、熱い!
「Voices Inside」は後半のWillieのベースソロが大きな聴きどころ(もちろんコーネルのギターソロもいいです)。高音を多様したソロで、とにかく音が大きく目立ちます。観客も大いにのっているのがよく分かります。
ダニーの「ウィリー・ウィークス!!」という叫びもいいタイミングで入ってきます。
Willieはこの演奏で一気に売れっ子スタジオミュージシャンとなり、後にラーセン=フェイトン・バンドに加入します。
本作で一般的に人気の高い曲は、キャロル・キングの④「You've Got A Friend」でしょう。イントロの観客の歓声、大合唱が感動的です。
そういえばキャロル・キングもダニーの実力を認めていたアーチストの一人ですね。

素晴らしいバックミュージシャンに支えられた本作。それでも中心はダニー。ときにファンキー、ときにメロウなキーボード、ヴォーカル。この演奏力の高さはダニーあってのものだと思います。