あのデイン・ドナヒューが新譜を発表致しました。
デインの超名盤「
Dane Donohue」についてはリンク先をご参照頂くも、46年振りの新譜、そのセカンドアルバムは味わい深い内容でした。
(ハリさん、情報有難うございました)
こちらはまだYouTubeには音源が1曲しかアップされてませんし、もう少し後でレビューしたいと思ってます。
さて、今回ご紹介するアーチストは超難関、聴き手の理解を超越していくジョニ・ミッチェルです。
本作発表後、ジョニはジャコ・パストリアスと出会い、よりフュージョン色の濃い作品を発表していきます。そういった意味では本作は、難解ではありますが、まだ聴きやすい作品に仕上がってます。
本作はジョニの7枚目のスタジオアルバム。プロデュースはジョニ自身。
ジョン・ゲランとウィルトン・フェルダー&マックス・ベネットのリズム隊をベースに、ギターにラリー・カールトン、ロベン・フォード、ジェフ・バクスター、キーボードにジョー・サンプル、ヴィクター・フェルドマンが参加。相変わらず豪華なミュージシャンが贅沢な音楽を奏でております。
この時代のジョニしてはポップな①「In France They Kiss On Main Street」。
1950年代、ロックンロールに揺れる私たち あちらこちらでキス、そしてフランスでは表通りでキスしている…、あの時代の前衛的な若者たちを表わしているのでしょうか。
この超絶素敵なライブ映像が凄い。この曲のスタジオ録音に参加したミュージシャンではなく、本作の次の時代に登場してくるメンバーのライブ演奏。パット・メセニー(G)、ジャコ・パストリアス(B)、ライル・メイズ(Key)、ドン・アライアス(Ds)という強烈なメンバーです。これらメンバー、特にパットのギターが、この曲の魅力を思いっきり引き出してます。
ジェームス・ディーンの映画のシーンが挿入されてますが、歌詞からインスパイアされたものでしょうか。ジャコの宙を舞うようなベース、そしてここでのパットのギターが自由奔放というか、ジャコのベースに合わせるように弾きまくってます。いや~、ジャコとパットを従えているジョニって、とんでもなく凄いです。
ちなみにこの曲のスタジオ録音にはジェームス・テイラー、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュがコーラスで参加。何が言いたいかというと、この曲、元恋人D・クロスビー、当時の恋人J・テイラー、アップしたライブでは当時の恋人のJ・バストリアスが…、あちらこちらでキスしているジョニ…、あなたが一番奔放だよなあと感じた次第(笑)。
ベースの強烈なリズムは、アフリカで野外録音されたブルンジの打楽器合奏隊の演奏。
ともすると阿波踊りのリズムに似ていなくもない。合いの手を入れるように入るモーグはジョニ自身の演奏。なんか不思議な楽曲ですよね。不協和音が鳴っているようにも聞こえるし。よくこんな曲作れたなあと思います。
ちょっとジャージーな③「Edith And The Kingpin」。
気怠さが漂い、感情の起伏もない、これもまたジョニらしい不思議な曲。淡々と訳の分からない歌詞を歌っていきます。
随所に効果音のように切り込んでくるギターが聴こえてきますが、これはラリー・カールトンのプレイ。ジャズのような展開、でもジャズではないところがジョニらしい。
クールジャズ的な⑥「The Hissing of Summer Lawns」。
この曲のみジョン・ゲランとの共作。ジョンはモーグの演奏とアレンジも手掛けてます。ドラマーとしてのジョンしか知らなかったので、彼にこうした才能があったとは驚きです。ただ、ジョンが作曲&アレンジを手掛けた作品はそれほど多くなく(むしろこの曲だけ?)、恐らく才能はあったけど、裏方に徹するような方だったんじゃないかなと想像します。ちなみにジョン・ゲランは後期バーズにも加わったり、フランク・ザッパとプレイしたり…。基本、ジャズビートの人ですが、多彩なドラマーでした。
それにしてもこの曲、なんとなく雰囲気がアジムスの「Fly Over The Horizon」的でクールです。夏の夜にじっくり聴きたい曲。
ジャズのスタンダードナンバーの「Centerpiece」を繋いでしまうジョニのセンス、凄いですね。確かに「Harry’s House」はチャック・フィンドレーのトランペットとか、かなりジャージー。ロベン・フォードのギタープレイも光ります。そして豊潤なコーラスが聞こえてきたかと思ったら、リズムが4ビートへチェンジし、「Centerpiece」へ。ここでのジャズピアノはジョー・サンプル。
恋多きジョニはこの後、ジャコと組んで、フュージョン路線を突き進んでいきます。
ジョニのアルバムは難解なものが多いのですが、少しずつチャレンジしていきたいアーチストのひとりです。