今度はデヴィッド・クロスビーの訃報。2021年発表の「
For Free」はこのブログでもご紹介済ですが、かなり素晴らしい作品でしたので、まさか彼が闘病生活を送っていたとは、全く知りませんでした。彼が関わった作品も多数あるので、またいずれ、ここでご紹介出来ればと思ってます。
さて、今回はローリング・ストーンズです。
本作は1973年発表の11枚目(英国)のアルバムで、ファンの間でも評価の分かれる作品ですね。名作「
Exile on Main St.」発表後の北米ツアーを1972年7月に終え、休暇の後にジャマイカに入り制作されたもの。ちなみに山羊の頭のスープって、ジャマイカでは媚薬と見なされており、非常に美味しいようです。
評価がかなり偏向しているローリング・ストーンのレコードガイドによると、なんと本作の評価は☆(星ひとつ)…(泣)。ストーンズの作品で☆ってそんなにないんですよね。かくいう私もこの作品、それほどの印象は持っておりませんでした。本作からのヒット曲は⑤「Angie」ですが、私自身はこのバラード、あまり好きではなく、その印象がそのままこの作品のイメージとリンクしていたんですよね。
恐らくこの作品は最初の2曲をどう捉えるかによって評価が分かれるような気がします。
①「Dancing with Mr. D.」はアルバムトップに据えるのはあまりにも渋くて妖しげなナンバー。
アップしたPV…、両ミックの化粧が妖しげ…、このPV見たら、この曲が嫌いになる人、多いだろうなあ(笑)。
本作中、一番ストーンズらしさを感じたのが②「
100 Years Ago」です。
ちょっとスワンプ気味なサウンドですが、ビリー・プレストンが弾くクラヴィネットが結構ファンキー指数を高めてます。そして演奏が熱を帯びていくと思ったら、一旦曲調はスローに。そして再びファンキーなロックが繰り広げられます。ここでのベースはキースのプレイ。このロックが好きだという方は、本作は十分楽しめるんじゃないでしょうか。
こちらもストーンズ流のファンク・チューンの④「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)」。
豪快なブラスとここでも登場するビリーのクラヴィネットがいいんですよね。ギターソロもちょっと怪しげな雰囲気。このギターソロはミック・テイラーなのかな。
この曲って単純なメロディの繰り返しですが、アレンジが凝ってますね。そういった意味では、ストーンズって実に器用なバンドだったんだなあと感じます。
ストレートなロックの⑥「Silver Train」は往年のストーンズらしい楽曲。
一瞬イントロがCCRっぽいんですが、ちょっと泥臭いロックンロールですね。またここではミック・テイラーのスライドが炸裂しております。カッコいい…。このプロモビデオでもギターソロでスライドを弾くミックが映ってますね。
それにしてもここでの両ミック(ジャガーとテイラー)の化粧はどうも苦手です(笑)。
かなり手の込んだアレンジの⑨「Can You Hear the Music」は結構私のお気に入りです。
まずはイントロのパーカッション(トライアングル?)とフルートの組み合わせが民族音楽を思わせます。その後のメロトロンみたいな音はギターでしょうか。ニッキー・ホプキンスのピアノといい60年代後半のサウンドを連想させます。ただメロディアスな部分もあったり、忘れた頃にバックからイントロのフルートの音が聴こえたり、実に不思議な楽曲ですね。
ちなみにローリングストーン・レコードガイドブックには本作について、「ごじゃまぜというか、終末のはじまりと呼ぶかは、誰に質問するかによって違う」と変な日本語訳で書かれてます。確かに全体的に散漫な印象を与えるアルバムですが、決して☆(星一つ)のような作品とは思えず、むしろなかなかいい作品じゃないかなと感じます(但し①のPVだけは我慢出来ませんが…)。
70年代のストーンズ、様々な音楽をやっており、実に魅力的です。