さて、今回はビル・ラバウンティ。AOR好きにとっては「This Night Won't Last Forever」や「Livin' It Up」のヒット曲が思い浮かぶと思います。1990年、中山美穂主演の「すてきな片思い」というTVドラマの挿入歌に「This Night Won't Last Forever」が突然使われ、当時リバイバルヒットもしました(ちなみに「すてきな片思い」のワンクール後のドラマが「東京ラブストーリー」ですね)。原曲は1978年の作品なんですが。
SSW系AORのようなイメージのビル、今はどうしているのか、ふっと思い立ち、サブスクでチェックしたところ、現時点での最新作「Into Something Blue」を聴いてかなりビックリ…。そうです、ビル・ラバウンティ、すっかりスティーリー・ダンしておりました。彼のその前の2009年の作品「Back To Your Star」は、当時「マッスル・ショールズやスティーリー・ダンのようなサウンドがつくりたかった。こういう風に表現できる機会がなかった」と語っていた通りの作品に仕上がっているらしい。個人的には90年代以降のAOR系アーチストの作品って食指がそそらないのですが、これはイイ!と思いました。
実は前作「Back To Your Star」にはラリー・カールトンが3曲参加しておりました。ビルとラリーはご近所さんらしく、また奥さん同士もソングライターということもあり、ウマが合ったんでしょうね。で、本作にはラリーが7曲で参加、しかも2人だけの楽曲もあったりして。そしてプロデューサーがリック・チュダコフ。ロビー・デュプリーのプロデューサーとしても著名なリックにラリーにビル…。悪い内容のわけがありませんね。ちなみにドラムのジャック・ホワイト、ビルのデビューアルバムからの付き合いで、同性同名で有名なドラマーがいるのですが、どうも別人のようです。
このアルバム、1曲目の①「All This Time」が素晴らしい。出来れば夜に聴いてほしい。気のせいか、声がドナルド・フェイゲンっぽい。エレピとかコーラスとか、完全にスティーリー・ダンの世界。このビル・ラバウンティも大好きです。
ちょっと撥ねるリズムが素敵な②「Ax To Grind」。4ビートジャズですね。ラリーのギターも渋く絡んできます。これもまたドナルド・フェイゲンの趣味じゃないかと思わせる1曲。あの名作「ナイトフライ」に収録されていても違和感ない作品。
なんとレイ・チャールズのカバーの⑦「Funny But I Still Love You」。本作にはドリフターズのカバーの⑥「If You Don't Come Back」とボブ・ディランのカバーの⑨「Subterranean Homesick Blues」、計3曲のカバーが収録されてますが、ラリーが参加しているのは「Funny But I Still Love You」だけ。ラリーが「レイ・チャールズをやろう」と言い出したらしく、ビルがこの曲をセレクトしたらしい。ブルース好きのラリーらしい、いぶし銀のギターソロも堪能出来ます。
こんにちは。ビルのアルバムは「This night won't last forever」「Bill LaBounty」「Right direction」を所有してますが、今回の作品まで聴いて、やはりミュージシャンの歴史的なものを感じますね。この辺の感覚は、J.Dサウザーのものと同じ感覚です。
あと私見ですがラリー・カールトン、スティーリー・ダンに加入したかったのでは?けどドナルドは拒否しそう(笑)