またいつものように4月8日がやってきます。
佳桜忌(けいおうき)…。岡田有希子の命日をそう呼びます。
小学生の頃から洋楽中心に聴きまくってきた私も、アイドルが好きであった時代もあったわけでして、その代表格が岡田有希子でした。
彼女が持つ世界観を表すのに起用したライターが竹内まりやで、それは当時のポニーキャニオンのプロデューサーだった渡辺有三氏のアイデアでした。そして1984年4月に発表されたデビュー曲が「ファースト・デイト」。
全曲ムーンライダーズのかしぶち哲郎がアレンジを手掛けてます。1、2枚目でドリーミーなアメリカン・ポップス、3枚目でちょっと大人びた楽曲にも挑戦。本作はというと、今までとはちょっと毛色の違う作品となりました。
このアルバムが発表された1986年1月当時、彼女は髪をショートにし、楽曲も徐々にアメリカン・ポップスからニューウェーブ系に移っていったことから、ポップス好きの私としては、彼女から徐々に離れていき、本作も(あの事件もあったことから)つい最近まで未聴のままでした。
ニューウェーブ調の①「WONDER TRIP LOVER」はデュラン・デュランの曲調を思わせるアレンジだし、②「愛…illusion」はスカのリズムが強調された意欲作。これをひとつの成長と捉えるのか、判断に迷うところです。もちろん竹内まりや作の一連のアメリカン・ポップスばかりでは、飽きられてしまう…、というスタッフ陣の考えも理解出来ますが、私自身はこうした楽曲は彼女の持ち味が生かされていないのではないか…と思ってしまいました。
そんな中でもアルバムタイトル曲の③「ヴィーナス誕生」は、音は典型的な80年代ピコピコサウンドですが、メロディは正統派アイドルソングで好感が持てます。
メロディはちょっとフォーキーな、初期岡田有希子を思わせる楽曲の⑤「銀河のバカンス」。これもいいですね。情感たっぷりにユッコが歌い上げてます。彼女は何を思って歌っていたのでしょうか。
B面トップはかしぶち哲郎作詞作曲のロックナンバーの⑥「ジュピター」。コンサートのオープニングナンバーに相応しい1曲。彼女はこんな曲も器用に歌いこなす素晴らしい歌い手でした。
本作からのシングルナンバーが⑦「くちびるNetwork」。結局この曲が彼女の最大のヒット曲となってしまいました。ご存知の通り作詞は松田聖子、作曲は坂本龍一。サンミュージックの力の入れ具合が良く分かります。シンセの使い方なんかは古臭いアレンジですが、楽曲自体はポップスですね。坂本教授がポップスに挑戦した佳作。
個人的にはやっぱりユッコのアルバムはファーストが一番のお気に入りです。本作はジャケットもあまりイメージとは違うような気がします。
最近、竹内まりやさんが「恋、はじめまして」をセルフカバーしました。まりやさんも思い入れが強すぎてカバーできなかったとのこと。素敵に仕上がってます。本人と両方アップしておきます。平成最後の佳桜忌をしっとりと過ごしたいと思います。