1984年というと、もうAORはブームを過ぎた頃でしょうか。田中康夫の名著「たまらなくアーベイン」(AORの名盤ガイド)が発刊されたのも1984年4月。だからマイケル・ラフの本作は、その名著には紹介されてません。実際、トップの①「Walkin' With Somebody」なんかは、イントロから打ち込みっぽいシンセサウンドとポップスとしては中途半端なメロディ、特にコレといって惹かれるものもない楽曲(と個人的に感じたまでですので)で、ちょっとガッカリ。AORって感じでもない。
ただ④「Love Go Round」辺りから、段々と興味がそそられるところが…。一緒にデュエットしている女性歌手はVonda Shepard。この名前にピンと来た方はなかなかのマニアですね(笑)。実は「アリー My Love」で歌手の役をやっていた方。彼女の名前が最初に知られるようになったのは、1989年、ダン・ヒルとのデュエット曲がそこそこヒットして以降のこと。つまり本作発表時点では全くの無名シンガーだったと思われます。ライナーノーツによると、彼女、当時、マイケルの彼女だったとか。 そして肝心の楽曲ですが、イントロから導入の部分は、フュージョンっぽい香りも。サビも覚えやすいし…。でもこの曲の聴きどころはエンディング、4分過ぎから、フュージョン特有のアドリブっぽい展開に。それをリードするのはスティーブ・ガッドの力強いドラムです。最後は早いビートに…。
そして本作中、一番AORフレイヴァーたっぷりな⑤「Once in a Lifetime」。本作のアルバムタイトルトラックです。イントロからキャッチーなコーラス、そしてホーンはラリー・ウィリアムス。ちょっと落ち着いたムードの展開はエリオット・シャイナーが手掛けたランディ・グッドラムのデビューアルバムを連想させますね。
美しいバラードの⑥「Don't Ever Say Goodbye」。こうした美しいメロディが多くのミュージシャンの共感を得るのでしょうね。この美しいサックスソロは当然、デヴィッド・サンボーンです。