ビージーズといえばサタディ・ナイト・フィーバーの印象が強く、ディスコサウンドの代名詞のような存在ですが、もともとはフォーキーなバンドでした。映画「小さな恋のメロディ」の挿入歌「Melody Fair」なんかが有名ですが、とてもメロディアスなバンドだったんですよね。
それが本作前後を境に、見事な転身を図っていったのです。
ビージーズは前作「Mr.Natural」より、プロデューサーにアリフ・マーディンを起用。商業的には失敗に終わったものの、随所に本作の布石となるようなサウンドが見受けられた。そしてマイアミで収録された本作制作に入る訳ですが、マイアミ収録については、同じレーベルメイトでもあったエリック・クラプトンのアドバイスがあったとされてます。エリックは1974年、マイアミのクリテリア・スタジオで収録した「461 Ocean Boulevard」で見事に復帰を果たした経験から、エリックがモーリス(ビージーズ兄弟の長男)に同スタジオでの収録を示唆したらしいですね。
さて本作ですが、往年のメロディアスな楽曲から斬新な曲まで・・・、内容の通り、70年代初期のフォーキーなビージーズから、70年代末のディスコサウンドのビージーズへの橋渡し的内容のアルバムとなっております。
そして改めて申すまでもなく、本作、いやビージーズを代表するメガヒット曲、②「Jive Talkin’」があまりにも素晴らしい。従来のファンからすれば、ビージーズといえばメロディ勝負と思っていた筈。しかしこの楽曲、あまりにも無機質。つまり従来のビージーズからしたら対極にあるような楽曲なんですね。かつその無機質さをカバーするようにリズムが強調されてます。そしてバリーのファルセットも素晴らしい。間奏のドラムとハンドクラッピングだけになるところとか、こんなかっこいい曲、そうそうないですね(私はビージーズの楽曲の中で、この曲が一番大好きです)。
ライナーノーツによると、もともとこの曲は「Drive Taikin'」という曲名だったらしい。バリーの妻が、宿泊先のホテルとスタジオを往復する途上にある踏み切りを横切る際、その音に気付き、その規則正しい反復音からバリーがインスパイアされて作ったのが本作とのこと。ギターやシンセベースがリズミカルなのは、そういった影響から・・・なんですね。
この曲に限らず、本作はシンセベースがかなり強調されてますが、これは本作からビージーズ・バンドに加入したブルー・ウィーヴァーの影響が大きい。ブルーは、すでにビージーズバンドに加入していたドラムのデニス・ブラウンと共に、アーメン・コーナーにいた人物。もちろんデニスのファンキーなドラミングも、ディスコサウンドにマッチしてますね。
「Jive Talkin'」とある意味対極に位置しているのが、④「SongBird」。この曲を聴いて、恐らく多くの方がエルトン・ジョンを連想されるんじゃないですかね。すごくエルトンのバラードに似てます。ここでもリード・ヴォーカルはバリー。バリーのシンガーとしての表現力って凄いですね。間奏のハーモニカも素晴らしい。「Jive Talkin'」と「SongBird」の2曲を聴いただけでも、本作の奥行きの深さはご理解頂けるのではないでしょうか。
⑤「Fanny」も緊張感を解きほぐすような1曲。イントロからほのぼのした気持ちにさせる、ある種、清涼剤のような曲。本作からは3枚目のシングル。
⑧「Come On Over」は同じオーストラリア出身のオリビア・ニュートン・ジョンのバージョンが有名。彼女は1976年、アルバムのタイトル名とするほど、この曲をフューチャーし、ヒットさせてます。デビュー当時はカントリータッチだったオリビア。ここでもそんな感じがまだ残ってますね。オリビアのバージョンをアップしておきます。
⑨「Edge Of The Universe」は、1977年にライブバージョンとしてシングルカットされてます。ミディアムテンポのポップスなんですが、デニスのドラムが比較的重たいので、ロック寄りの楽曲に聞こえますね。
ビージーズは翌年、「You Should Be Dancin'」の大ヒットで、ディスコミュージックの牽引者としての地位を確立していきます。ビージーズといえばディスコサウンドですが、でも私としては、やっぱりメロディが美しいバラードのビージーズが大好き。最後に私が大好きなライブ映像(早死にしてしまった弟アンディに捧げたもの)をアップしておきます。