2015年もあっという間だったような気がします。そんな中でも私の音楽ライフはポール・マッカートニーのライブ参戦、
星野源の武道館等、それなりに楽しんだ1年だったかなと。あとは普段はあまりじっくり見ない紅白で、源クンのパフォーマンスを見て、年を越したいと思ってます。
もう今年もあと僅か・・・。クラシックでも聴きながら、ゆっくり過ごしたいものです。で、本田美奈子です。
あんな華奢な体からは想像出来ないくらいの素晴らしいソプラノ・ヴォイスの持ち主だった彼女。
実はアイドルとしてデビューした当時、結構好きだったので(もちろんマリリンが大ヒットを記録する前の話ですが)、後に彼女がクラシックの世界にまで活動の領域を拡げたことにはビックリしたものです。
彼女にとっての大きな転機は、1990年のミュージカル「ミス・サイゴン」への出演決定。アイドルとして一世を風靡したものの、その人気も長続きせず、ロックバンドへと活動の幅を拡げるも、商業的にはまったくの失敗(ただしゲイリー・ムーアからの楽曲提供、クィーンのブライアン・メイとの共演など、洋楽ファンからすれば、結構興味深い展開ではあったのですが)。そんな中、「ミス・サイゴン」の、6ヶ月にも及ぶ厳しいオーディションを突破し、彼女はキム役を仕留め、見事にその実力を発揮していくのでした。
そのミュージカルにしても、アイドルに何が出来る??と懐疑的な声もあったと云われています。でも結局彼女は見事にやりきったことで、次への飛躍へと繋がります。折りしもコロムビアの音楽プロデューサーであった岡野氏が、当時、クラシックを現代のリスナーにもわかり易く届けられるシンガーを探していたところで、その二人の出会いから、2003年5月にクラシックとのクロスオーバーアルバム「AVE MARIA」が発表されます。
本作は彼女が亡くなった後に発表された、晩年のクロスオーバー時代のベスト盤。

やっぱり白眉は⑤「アメイジング・グレイス」でしょうか。井上鑑の情熱的なピアノも素晴らしいし、全身で情熱的に歌う彼女のパフォーマンスも素晴らしい。実際にこのパフォーマンスを見ていたら、鳥肌が立っていたかもしれません。
ちょっと切なく、哀しい②「アヴェ・マリア」。能天気に「1986年のマリリン」を歌っていた頃の彼女は、ここには居りません。
私の小学校の下校のテーマソングだったドヴォルザーグの⑧「新世界」。この名曲に付けられた詞は、本田美奈子自身が作ったものです。素晴らしいPVが残されておりました。座りながらこの名曲を歌い上げるパフォーマンス。衣装も美しいし、映像自体も、なんだか神がかった感じがします。
こちらも絶句してしまうくらい素晴らしいパフォーマンスが③「タイム・トゥ・セイ・グッパイ」。原曲はイタリア人歌手のアンドレア・ボッチェリが1995年に発表したものですが、何と言ってもサラ・ブライトマンがボッチェリとデュエットしたバージョンがあまりにも有名。それを本田美奈子と布施明が歌い上げます(このベスト盤には彼女のソロが収録されてますが)。彼女は2000年にシドニーのオペラハウスでこの曲を初めて歌ったそうですが、この映像はその2年後・・・ですね。後半エンディングでの2人のデュエット・・・、すごいですね。
最後はやっぱりこの曲、⑫「この素晴らしい世界」で。絶妙なスライドギターは今剛のプレイ。サッチモの味のあるヴォーカル・ヴァージョンもいいですが、本田美奈子が ♪ 私は思う すばらしいと この世界は すばらしいと ♪と歌うと、ひとつのメッセージとして、胸に響きます。
2003年のアルバム「AVE MARIA」の発表から僅か2年後、彼女は2005年11月6日に亡くなります。もう10年経つんですね。
年末にこうした楽曲を聴きながら年を越すのもいいものです。
皆さん、よいお年をお迎え下さい!