昨日はダンヒルレーベルから発表された隠れ名盤をご紹介しましたが、ダンヒルというとグラスルーツと共に同レーベルの代表格、ママス&パパスが思い起こされます。
たまたま先日オフで彼等のベスト盤(最近発表された国内盤)と同じ価格で彼等のファーストアルバムが陳列されていたので、迷わずオリジナルアルバムを購入しました。ママパパにはジョン・フィリップスという強力なライターが存在するので、ベスト盤で済ませてはいけないグループとの思いがあったからです(つい最近までベスト盤でいいや、と思っていたのですが^^)。
そして本作は、やはりジョンの書く素敵な楽曲と、ハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、そして先日亡くなられたラリー・ネクテルの名演が聴ける素晴らしいアルバムでした。
このママス&パパス、男性2人、女性2人の男女混声ハーモニーグループで、リーダーのジョン・フィリップスが主に曲を書いてます。元々はジョンと妻のミッシェル・フィリップス、そしてデニー ・ドハーティを加えた3人でグループをスタートさせるべく準備を進めていたものに、デニーに恋心を抱いていたキャス・エリオットが(強引に??)加わり、4人組となったもの。ところが後に美人のミッシェルがデニーと不倫をしてしまうという、ドロドロした展開になっていきます。男女混合グループの宿命でしょうか?
さてそういった複雑な人間関係へと展開していくママパパですが、この①「
Monday, Monday」を聴く限り、歌手としての彼等のプロフェッショナル志向が窺い知れます。次から次へのハーモニーが展開していく様は、非常に独創的だし、ジョンの書くこのメロディもピースフルな感じがとても心地いいですね。
この曲、一度曲がストップし、一瞬「終わり??」と思わせる箇所があります。昔、この楽曲をラジオからエアチェックしているとき、思わずその仕掛けに騙され、そこで録音を切ってしまった経験があります(笑)。
②「Straight Shooter」はママパパには珍しく、当時流行ったギターのリフの強い楽曲。明らかにビートルズの「涙の乗車券」の影響を受けていると思われる楽曲ですね。初期モンキーズに近い音。
このグループの秀逸な点はジョンの楽曲とカバーアレンジのセンスです。このアルバムにもカバー曲が数曲収録されてますが、どれもなかなかのアレンジです。
④「I Call Your Name」は言わずと知れたビートルズのカバー。ただし原曲からは想像が付かないキャス色の強い、ちょっとソウルフルなアレンジです。陽気なピアノは故ラリー・ネクテル。
映像は1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルにおけるライヴ映像。ママ・キャスのデカイこと(笑)。彼女は業界の母親的存在だったようですね。
カバー曲が続きます。⑤「Do You Wanna Dance」はビーチボーイズのカバーで有名なボビーフリーマンのロックンロールナンバー。なのにここでの「Do You
Wanna Dance」はスローテンポなママパパのオリジナルと間違うくらいの華麗なコーラスが聴けます。
もともとはこちらがデビュー曲となる予定であった⑥「Go Where You Wanna
Go」。もちろんジョンのオリジナル。ママパパらしいフォークロック的なポップス。この曲も大好きなんですよね。コーラスが非常にスリリングです。
後に「黒いママス&パパス」と呼ばれたフィフス・ディメンションがカバーしました。
彼等の、いや60年代のフラワームーヴメントを代表する1曲、⑦「California
Dreamin'」。80年初頭に日本でモンキーズのリバイバルブームが巻き起こりましたが、そのきっかけとなったのが、「Daydream Believer」が使われたコダックのCM。そして確か、そのCMで次に使用されたのが「California Dreamin'」でした。
文句なく名曲でしょうね。
⑪「You Baby」はダンヒルを代表するライター、P.F. Sloan; Steve Barriコンビのポップス。一瞬イントロのギターから初期ビーチボーイズを連想してしまいました。楽曲自体はこの当時の典型的なバブルガム的なポップス。間奏の、如何にもジョー・オズボーンらしいベースが大好きです。
やはりこのアルバム、随所にママパパのオリジナリティが随所に見られ、非常に聴きどころ満載です。複雑な人間関係故に、グループが長続きしなかったのはやむを得ないことだったのでしょうね。