私の洋楽との出会いはモンキーズがきっかけでした。以降リアルタイムではないのに60年代ポップスを聴き漁り、当然の如くラヴィン・スプーンフルへ行き着きました。その洒落たバンド名と軽快なポップスに心奪われ、特に彼等の3rdアルバム「Hums Of The Lovin' Spoonful」はよく聴きましたね。
そのラヴィン・スプーンフルのリーダーがジョン・セバスチャン。グッドタイムミュージックの申し子のような存在でした。ラヴィン・スプーンフル脱退後、1969年にあのWoodstockに出演。当時はCS&Nと懇意にしており、そのCS&Nは後にCSN&Y(ニール・ヤング)となるわけですが、ひょっとしたらCSN&Sとなっていたのかもしれません。そのCS&Nが録音に参加したのがジョンのソロデビューアルバムである本作。
当時所属レーベルであるMGMは、このアルバムをラヴィン・スプーンフル名義で発表するよう求めたのですが、それにジョンが反発。結局別のレーベルから発売することとなったのですが、これにMGMが意義を唱え、別ジャケで同アルバムを発表。せっかくのデビューアルバムは、こうして問題含みの発表となってしまいました。

ジョン流ロックの①「Red-Eye Express」はアルバム1曲目らしい朗らかなミドルテンポのロックンロール。その流れを分断するように2曲目は一転、美しいバラードです。自身のファーストソロシングルともなった②「She's A Lady」。2分にも満たない小作品。スティーヴン・スティルスとデヴィッド・クロスビーが素晴らしいアコギで参加してます。こんな美しい楽曲は、余計にジョンの温かさを感じさせます。
そしてまたまた激しいロックに・・・。③「What She Thinks About」はちょっとタイトなドラムが印象的なキャッチーなロック。後追いコーラスはグラハム・ナッシュでしょうか? もちろん力強いドラムはCS&Nのドラマーであるダラス・テイラー。
ヴィブラフォーンがアクセントになっている④「Magical Connection」は、後にピチカート・ファイヴがカバーしてました。ちょっとムーディーな、不思議な雰囲気を持つ楽曲です。ワクワクするようなポップスではないのですが、妙な魅力を持つ曲ですね。
⑤「You're A Big Boy Now」はラヴィン・スプーンフル時代に発表したサントラ(フランシス・コッポラ作品)からのヒット曲のカバー。私はこのサントラを聴いたことがなく、スプーンフル時代の曲は聴いたことがないのですが、ここでの楽曲は完全に弾き語りスタイル。よほど楽曲に自信があったのでしょうね。
⑥「Rainbows All Over Your Blues」は私の大好きなカントリースタイル。スティールギターがガンガンに効いている楽曲です。
YouTubeにはジョンがアコギ1本でこの曲を演奏している映像がありました。珍しいのでアップしておきます。
ちょっと笑えるのが⑩「Fa-Fana-Fa」。ジャグバンドスタイルもジョンの得意な範疇ですが、ここではそんな音楽を彷彿させる楽しい雰囲気が繰り広げられます。メロディをリコーダー(?)やスキャットで単純になぞっていくのですが、これまたジョンのユーモア精神溢れる「らしい」1曲ですね。
ジョン・セバスチャンのソロアルバムというと、どうしても「Tarzana Kid」や「Welcome Back」が注目されがちですが、このファーストもバラエティに富んだ作風ながらもジョンらしい「音楽の魔法」が溢れている楽しい1枚です。