なんと言っても本作、①「Nothing Too Much Just Out of Sight」の激しいブルースロックに度肝を抜かれるでしょう。66歳のシャウト、スゴイです。ビートルズの「Helter Skelter」を連想させますね。これがアンビエント・ミュージックを発表し続けていたファイヤーマンとは思えません。逆説的に言えば、だからこそポールのソロ作品と見做していいのでしょう。
往年のポール大好き人間にとっては③「Sing the Changes」や、ベースの動きが凄い⑦「Sun Is Shining」、フィル・スペクター風の⑧「Dance 'Til We're High」辺りが気に入ると思います。「Dance 'Til We're High」なんかは久しぶりのポール節を聴く思いですね。映像をアップしておきます。
牧歌的なリコーダーの音色が印象的な⑩「Is This Love?」は完全なアンビエント・ミュージックですね。最初にこの曲を聴いたときは戸惑いました。これがポールなのかと・・・。ところが、ある日、精神的に疲れていたときにこの曲が耳に入り、「無」の感覚に陥るような気がしました。これもまたポールのやりたかったことなのかと・・・。 賛否両論あると思いますが、これもまたポールの多彩な一面を現した1曲ですね。
う~ん、⑪「Lovers in a Dream」まで来るとちょっと着いていけません(笑)。⑫「Universal Here, Everlasting Now」も同様ですが、非常に前衛的な音楽であり、ジョン・レノンが「Revolution9」、ジョージ・ハリスンがシンセサイザーミュージックで見せたようなアプローチと似ています。底の浅いポールの作品・・・、従来からポールはそう見られかねないポップスを発表してきていますが、そういった意見への反発を感じさせる楽曲です。