今となっては超レアな名盤となってしまった本作、ついに本国で先月リイシューされていたんですね。もっと多くの方々に聴いてほしいAORの名盤です。
マーク・ジョーダンというと一般的にはジェイ・グレイドンがプロデュースしたセカンドがあまりにも有名です。このゲイリー・カッツがプロデュースしたデビューアルバムは、その影に隠れがちですが、個人的には実はこちらの方が味わい深い楽曲が多く並んでいると思ってます。
デビューアルバムにしていきなりゲイリー・カッツのプロデュースでデビューするという幸運に恵まれたマーク。実際このアルバムの参加メンバーも時のオールスターズで、豪華ですね。
Guitar:Steve Lukather, Dean Parks, Larry Carlton
Bass:Chuck Rainey, Jim Hughart
Key:Jai Winding, Donald Fagen, Paul Griffin, David Foster, James Newton Howard, John Capek,
Drums:Jeff Porcaro, Harvey Mason
このメンバーからだけで想像すると、非常に派手な印象がありますが、ここで聴かれる音楽はSSW寄りのシブさを持った楽曲が並んでおります。よりキャッチーなAORを好まれるのであれば断然セカンドでしょうね。
そもそも1曲目の①「Survival」からして、妙に肩の力が抜けている印象です。キャッチーなんですが、ポップでもない。どこか醒めているところがあるんですよね。この曲のドラムは如何にもジェフ・ポーカロらしいスナップの効いたスネアが聴けます。この曲の持つタイトな印象は、このジェフのドラムによるところが大きいと思います。
本作では①「Survival」が代表作として語られることが多いですが、個人的には哀愁漂う③「Mystery Man」が大好きですね。このフォーキーな感覚はセカンドでは味わえないでしょう。
恐らく楽曲を盛り上げるコーラスはJ.D.サウザー、そして粘着質なギターはラリー・カールトンでしょうか??
私はこの曲を聴くと
デイン・ドナヒューの寂寥感溢れる楽曲を連想してしまいます。デインのアルバム参加者と本作の面子はかなり重なってますね。恐らく制作された時期も同じだし、かなり共通項が見出せます。
実はマークの本来の持ち味もこうした楽曲にあるのかもしれませんね。
④「Marina del Rey」はカリビアンなアレンジがいいですね。Marina del Rey はラストリゾートなのでしょうか?
そういえばアマゾンを覗いていたら「Living in Marina Del Rey」というマークのアルバム(下ご参照)を発見しました。なんとBlue Noteから発売されてます。
ベストっぽい選曲ですが、ライヴアルバムなのでしょうか? ジャケットはMarina del Reyなのでしょうね。
6曲目からのB面5曲は決して華やかな楽曲ではありませんが、どれも味わい深い曲です。
⑦「Dancing on the Boardwalk」はトム・スコットのサックスが彩りを添えますが、ミディアムテンポのマークらしい1曲。私は音楽理論には造詣は深くないのですが、間奏部分のコードはちょっと変わっているのでしょうね。
⑧「Only Fools」にも③と同様、(恐らく)ラリー・カールトン独特のギターが絡みつきます。決して派手ではない楽曲ですが、70年代フォーキー&AORっぽくっていいですね。
すごく違和感のある⑨「One Step Ahead of the Blues」。要するにジャズなんですが…。
確か最近のマークはジャズっぽい曲をやっていると記憶しているのですが、元々こうした楽曲もやりたかったのでしょうね。
デビューアルバムにしては地味な印象ですが、よく聴くと非常に味わい深いアルバムです。SSW系が好きな方にはおススメの1枚。
マークはその後も数枚アルバムを発表していますが、セカンド以外はパッとしませんね。ただソングライターとしてはいろいろなところに顔を出してます。確か松田聖子の楽曲にも携わっていたかと・・・^^。