まず最初にニヤッとさせられたのが⑦「You Took Me All the Way」。
https://www.youtube.com/watch?v=IR5cOB_QPzc&t=3s
なぜか…。この曲のタイトル、All The Wayにピンと来た方はなかなかですね。そう、ラズベリーズの名曲「Go All The Way」です。間違いなく、エリックはこの名曲をモチーフに、今だったらこういう風になる…と思って書いたのではないでしょうか。
イントロのギターのリフから「Come On !」のシャウト…、ああ、ラズベリーズのエリックだなあ。曲が甘いメロディに変わるところなんかは「Go All The Way」そのもの。80年代風アレンジ、シンセドラムとかはイマイチですが、曲はいいですね~。
シングルカットされた甘いバラードの②「I'm Through with Love」。愛の終わりを歌ったエリックらしい珠玉のバラード。
この曲、一瞬「All By Myself」を彷彿させるメロディが登場します。甘い、そして泣きのメロディはエリックならではですよね。
当時のPVがありましたのでアップしておきます。エリック、カッコ良すぎますね。
私のあまり好きでない80年代特有のサウンドの⑤「Come Back to My Love」。
https://www.youtube.com/watch?v=5_6JWAPS-DM
キッスのジーン・シモンズも「エリックは「All By Myself」のイメージが強いが、本当のロッカーだった」といった趣旨の追悼コメントを出されてましたね。
実は私もそう思ってまして、特にラズベリーズ時代はロッカーそのもの。このアルバムでも最初にご紹介した曲やこの曲(本当にアレンジは残念なんですが)のシャウトにその精神が表れてますね。
そしてエリックはロッカーであると共にバラードの名手でした。
本作エンディングも素晴らしいバラードが用意されております。それが⑩「The Way We Used to Be」。
エリックはラフマニノフの楽曲をモチーフに「All By Myself」「Never Gonna Fallin’ Love Again」といった名バラードを発表しておりますが、実は著作権が切れていない国もあったことで、ラフマニノフ財団に印税を払わないといけない羽目に陥ってしまいます。何かそういったことと、エリックが寡作であったことが関係あるのかは分かりませんが、彼が素晴らしいメロディメーカーであったことは事実。
多くの素晴らしい音楽を有難うございました。R.I.P.
]]>Manassas「Pieces」(2009)http://y240.exblog.jp/33278638/2024-03-09T05:19:00+09:002024-03-09T22:45:53+09:002024-03-09T05:19:52+09:00240_82009
ヘビーなブルース・ナンバーの⑩「High and Dry」。https://www.youtube.com/watch?v=682SUPUNcAQ
たまにはこういうブルージーなナンバーもいいですね。
スティーヴンとアルのギターの応酬がスリリング。そしてスティーヴンの熱唱…、この辺りが聴き所ですが、2分30秒過ぎから、後から入れた歓声と共にテンポアップした後半の熱いジャムも、このバンドの熱い演奏が楽しめます。これがなぜお蔵入りとなったのか分かりませんね。
本作は①~⑩がロック、⑪~⑭がカントリー・ブルーグラス、⑮がスティーヴン単独という構成です。せっかくなのでブルーグラス調の4曲から1曲セレクトしておきます。セカンドアルバムでも披露されていたスティーヴン作の⑬「Do You Remember the Americans」。
https://www.youtube.com/watch?v=3h3LNE-2MqM
歳を取ってもまだ美しい石野真子さん…。男運に恵まれなかったことが不思議でしょうがないですね。
]]>Boz Scaggs「Boz Scaggs」(1969)http://y240.exblog.jp/33266950/2024-02-23T06:28:00+09:002024-02-23T06:41:48+09:002024-02-23T06:28:14+09:00240_81969
実際に見たボズは長身でとても姿勢が良く、ファルセットも効かせたソウルフルなヴォーカルは、とても79歳には見えず、驚きでした。そして予想通り演奏スタイルはブルースを基調とした大人の演奏で、このステージのハイライトはあとでご紹介する中盤で披露した「Loan Me a Dime」だったのではないかと感じました。またジャージーでブルージーな演奏は、東京ドームシティホール(約3千人収容)のような小振りなホールにピッタリで、願わくばブルーノートみたいなところで聴いてみたかったとも、思いましたね。
アンコールを交えたラスト5曲「Lido Shuffle」「What Can I Say」「Lowdown」「We're All Alone」「Breakdown Dead Ahead」まで圧巻のステージ。ウィリー・ウィークス&テディ・キャンベルのリズム隊も素晴らしかった(実はウィリーは軽井沢在住でしたね)。ボズは曲毎にギターを替えてましたが、唯一ギターを抱えずに歌った「We're All Alone」は絶品。あのソウルフルな声で歌われたら堪りません。「Slow Dancer」も良かったなあ。最後の「Breakdown Dead Ahead」では完全にハードロックなボズでした。
あ、ちなみにこの日の観客の年齢層は私以上Boz未満といったところ。つまり私は若手の部類の属しておりました(笑)。予想通り私より年上の女性も多く、観客のノリも大人でした…。あと19日の初日公演は撮影規制が緩かったようですが、この日は非常に厳しい規制でした。なのでステージ上の写真は撮れず(以下は19日に参戦された方から頂いた写真)。
ということで今回は「Loan Me a Dime」を含む実質的なデビューアルバム「Boz Scaggs」をご紹介致します。
70年代末のAOR期から徐々にブルースへ原点回帰していっているボズですが、個人的には2013年発表の「Menphis」が結構好きだったりします。
もともとボズはメンフィス・ソウルに憧れ、この(実質的な)デビューアルバムをマッスル・ショールズで録音、アトランティックから発表されてます。AORが大好きだった当時は、私はこのアルバムが苦手で殆ど聴いたこともなかったのですが、「Menphis」を聴き込むにつれ、これは「Boz Scaggs」も味わい深いのでは…と思い、以降事ある毎にこちらも聴いております。
まずは今回の来日公演で披露された楽曲からご紹介致します。それがFenton Robinsonが1967年に発表した⑧「Loan Me A Dime」という楽曲。
もともとボズのオリジナルとしてクレジットされていたものが、原作者から訴えられ、正式に原作者がクレジットされたもの。確かにオリジナルは2分30秒弱なのに、ボズのバージョンは12分30秒以上あり、ボズ流の解釈している印象。原曲をもっとスローにブルージーに、そして熱いギターが繰り広げられます。正直こういう曲は苦手ですが、これはライヴで聴くと鳥肌モノです。ボズも思い入れが強い曲なんでしょうね。
今回の公演ではこの曲をどう感じたかで評価は大きく分かれたのではないかと感じました。やはり根っからのブルースマンだったボズ。それがこの「Loan Me a Dime」の演奏でよく分かりました。熱いヴォーカルにギター、AORの原点もここにあると感じます。ちょっと前のライヴ映像をアップしますが、これはライヴで聴くべきだと思いませんか。
ボズのヴォーカルに絡んでくるギターはデュアンでしょうか。ロジャー・ホーキンスのドラムもタメが効いていてカッコいい。ちょっとチープなホーンとか、ソウルフルな女性コーラスとか、あの時代のメンフィス・ソウルですね~。デヴィッド・フッドのベースも最高です。
ついついウィリー・ウィークスのベースを思い出しちゃいました。この曲なんかは、今のボズのステージで演奏しても違和感ないですね。つまりやっぱりボズは原点回帰しており、私が大好きな「Heart Of Mine」辺りのサウンドはボズにとってはイレギュラーなものだったのかもしれません。実際「Heart Of Mine」は今回のステージでは演奏されてませんしね。
今も「Loan Me a Dime」を愛しているボズ。このアルバムも、この曲の良さが理解出来れば素晴らしい作品に思えてくるのではないでしょうか。
それにしても結局デビュー当時の音楽に戻ったボズは、立ち姿、声ともに(少し言い過ぎですが)当時のまま。何の気兼ねもなく、感情の趣くまま、エモーショナルに歌い、ギターを弾く姿に感動してしまいました。
(今週は3連休なので、日曜日に今更気になるアイドルの記事もアップ予定です)
]]>Carole King「Music」(1971)http://y240.exblog.jp/33262072/2024-02-16T06:30:00+09:002024-02-17T07:46:42+09:002024-02-17T06:24:17+09:00240_81971
本作はあまりにも有名な「Tapestry」の次作ということもあり、その影に隠れて地味な印象がありますが、実はかなりの名作。そして予想通り、オープニングから実にソウルフルなナンバーが飛び出してきます。
https://www.youtube.com/watch?v=2b4pGS1oOB8
カーペンターズは翌年、1972年に発表した「A Song For You」でこの曲をカバーしております。この曲は私の中ではカーペンターズが歌うポップスというイメージが強かったのですが、よく考えたら60年代のキャロルはこうしたポップスを作ってきた職業ライターだったわけで、こうした楽曲は彼女の得意とするものだったのかもしれません。
キャロルのピアノをベースに、シンプルなアレンジが曲の良さを引き立たせてますね。エンディングのアレンジはシカゴの「If You Leave Me Now」を連想させます。
本作中、一番のお気に入りは⑧「Song of Long Ago」、多分これをお気に入りとする方は少ないかもしれませんね。
なぜお気に入りかというともちろんジェームス・テイラーが絶妙なコーラスを付けているからです。アコギもJTですね。そしてこのちょっとほろ苦いようなメロディもメロディメーカーのキャロルらしい。
少し前にJTはキャロルのピアノをバックに「Long Ago and Far Away」という曲を発表しておりますが、ひょっとしたらそのアンサーソングかもしれません。キャロルとJTの関係というのは友人という枠を超えて、盟友という感じなんでしょうね(決して恋人という関係にはならなかったところも盟友・戦友という感じがします)。
イントロから軽快なラス・カンケルのドラミングがカッコいい⑫「Back to California」。
如何だったでしょうか。この作品も実に味わい深い作品です。当時キャロルは29歳。これから更に素晴らしい楽曲を量産していくのでした。
]]>KISS「Animalize」(1984)http://y240.exblog.jp/33255791/2024-02-10T06:36:00+09:002024-02-16T22:56:10+09:002024-02-10T06:36:35+09:00240_81984
今もたまにキッスは聴き返すのですが、1982年の「Creatures of the Night」から「Lick It Up」「Animalize」「Asylum」までのメタル期の4枚のアルバムは、ちょっと敬遠していたときもありました。ただこの時代のキッスが時代をキャッチアップし、「俺たちだってそれくらい出来る!」と言わんばかりの内容に感動。ここ数年は結構愛聴しております。
そしてこの4枚の中、本作が一番往年のキッスらしからぬメタル色が濃いアルバムじゃないかなと思います。このアルバムを知らない方は「これがキッス?」と是非驚いて下さい。
この作品はキッス三代目のギタリスト、マーク・セント・ジョンが参加した唯一の作品です。二代目のギタリスト、ヴィニー・ヴィンセントはメンバーと意見が合わず、「Lick It Up」1作のみの参加で敢え無く解雇。そこで伝手を辿って急遽メンバーに抜擢されたのがマーク。但し後のインタビューでマークは、自分の扱いは酷く、いい思いはない…的な発言をされておりました。確かに全く曲作りには参加しておらず、代役的にギターを弾かされただけ…にも見えます。しかしながら、そのギタースタイルはエディ・ヴァン・ヘイレンを思わせるトリッキーなもので、それだけで十分凄いプレイが堪能出来ます。
まずはオープニングの、ポール・スタンレーとデズモンド・チャイルドの共作の①「I've Had Enough (Into the Fire)」。
https://www.youtube.com/watch?v=wSWv1iVRu1M
まずはマークのトリッキーなギタースタイルに驚いて下さい(笑)。ヴォーカルはポール節全開ですが、ギターアレンジがメタリックなので、完全にヘヴィーメタルなサウンドになってます。またエリック・カーのドラムも重量感あって頼もしい限り。エリックはピーター・クリスの後釜として、1980年に加入したドラマーで、1991年に癌で亡くなるまでメンバーで有り続けた愛すべきメンバーでした。
シングルカットされた②「Heaven's on Fire」は直近のライヴでも演奏されておりました。
往年のキッス・サウンドをハードにしたようなキャッチーなメタル。このPVにはマークが映ってますが、実は映像として残っているキッスとしてのマークは、これが唯一のものらしい(他にはマーク加入時の紹介映像があるのみ)。マークは本作のレコ―ディングとライヴ3本のみの参加で、関節炎が酷くなり已む無く脱退。そういった意味ではこのPVは貴重です。
但しこのキャッチーなナンバーにはマークらしいトリッキーなプレイは登場せず。PVもそれほど見応えがあるものではありませんが…。
このキッスのメタル期は、次の「Asylum」まで続くこととなります。リード・ギタリストは次々と変わっていたメタル期ですが、サウンドは充実しております。再評価したいですね。
]]>B.J. Thomas「Billy Joe Thomas」(1972)http://y240.exblog.jp/33245802/2024-02-03T05:48:00+09:002024-02-03T05:56:14+09:002024-02-03T05:48:07+09:00240_81972
さて、本作の主人公、B.J.トーマスですが、一般的には「Raindrops Keep Fallin' On My Head」の人ですよね。映画「明日に向かって撃て」の挿入歌、バカラック・メロディが美しい名曲ですが、B.J.は本来はメンフィス・ソウル的な曲を得意としていたシンガーでした。ところが「雨にぬれても」の思わぬ大ヒットで、世間一般的に(スティーヴ曰く)ダサいイメージで捉えられてしまいました。「この当時、世間でウケていたのはレッド・ツェッペリンやボブ・ディラン、ジミー・ウェッブ、キャロル・キングといった方々の楽曲。だったらそういう人たちの楽曲を集めて、作者本人にも参加してもらおう」とスティーヴは考え、当時としては時代のずっと先をいくような作品、すなわち本作を仕上げたとのこと。
まずはこの素晴らしい作品から最初にご紹介する楽曲は、本作中一番有名な②「Rock And Roll Lullaby」。バリー・マン&シンシア・ワイル作の超名曲ですね。ここではバリー・マンがエレピで参加。非常に印象的なギターはトワンギン・ギターの名手、デュアン・エディ。そして中盤からのビーチボーイズ風のコーラスが最大の聴き所。実際にビーチボーイズに打診したようですが、断られたみたいですね(そんなビーチボーイズも後にピンクレディーの作品にコーラスで参加するという実績はあるのですが)。ということでコーラスはブラッサムズ等が担ってますが、このコーラス、いいんですよね。曲そのものいいですが、そのアレンジが素晴らしい楽曲です。
スティーヴィー・ワンダーの名作、③「Happier Than The Morning Sun」はニック・デカロのバージョンでも有名ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=U9KgL17SL2k
この曲も大好きなんですよ。しかもこのバージョンはスティーヴィー本人がハーモニカで参加。素晴らしいアコギはプロデューサーでもあるアル・ゴルゴニ。
このバージョンが何より素晴らしいのはエンディングと思ったら、リズムチェンジする中盤からの展開。ちょっとアーシーでゴスペルタッチ。いいですよね。こちらのコーラスもブラッサムズです。
本作中、一番ソウルフルなナンバーが⑦「A Fine Way To Go」。
https://www.youtube.com/watch?v=2Ap52hDMc3I
誰の作品かお分かりでしょうか。実はキャロル・キングなんです。そして本人がピアノで参加してます(間奏でリリカルなピアノソロを披露してます)。ちょっと意外じゃないですか。でも確かにこの当時、キャロルはソウルに接近していた時期なんですよね。
この曲も最初聴いたときは、スルーしちゃうくらいの印象だったんですが、よく聴くとホーンもキャロルのピアノも実にカッコいいし、ファンキーですよね。このファンキーなリズム隊はドラムはロン・タット、そしてベースは当時のキャロルの夫のチャールズ・ラーキーです。
⑧「Just As Gone」もだんだんと好きになってきた1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=jadzFq-_2ao
こちらはカントリー系ミュージシャンのウェイン・カーソンの作品。ウェインはエルビスの代表曲のひとつ「Always On My Mind」をマーク・ジェームス等と作った方。そしてこのアルバムにはマークも2曲提供してます。ウェインはギターで参加。硬いベースはジョー・オズボーンを思わせますが、カーク・ハミルトンのプレイです。
最初の ♪ Don't you go crying ♪ の歌詞から引き込まれます。メロディがいいんですよね。実に味わい深い…。
そしてエンディングはカントリー&フォーキーな⑫「The Stories We Can Tell」。
https://www.youtube.com/watch?v=OGJYR7eo5eU
後のJTからは全く考えられないような楽曲&アレンジの③「Knocking 'Round the Zoo」。
https://www.youtube.com/watch?v=lGmhNoolIIE
何やら不穏な雰囲気の弦楽奏から、かなりR&B色の濃いファンクナンバーに。JTの声はそれほどソウル色を感じさせないので分かりづらいですが、この曲はかなりファンキーですね。しかも異色なのは間奏のサイケなコーラス、いや叫び声(苦笑)。このアレンジは時代背景を感じさせます。
こちらもあまりにも有名なタイトルの⑥「Something in the Way She Moves」。
https://www.youtube.com/watch?v=YyLc7uQ7bas
もうお気づきですよね。タイトルはジョージ・ハリスンが作った名曲「Something」の最初のフレーズですね。本当にジョージはこの曲のタイトルからインスパイアされたということらしいです。ただ、この曲自体は「Something」と似ているわけではありません。JTらしいフォーキーなナンバーで、後の彼のステージでもよく演奏されております。
エンディングはビートルズの「I Feel Fine」からインスパイアされたようなことをJTは語っておりました。
故郷への想いを綴った名曲⑦「Carolina in My Mind」。
https://www.youtube.com/watch?v=Ss3uDHsGz44
ちなみにピーター・アッシャーはその後アップルを辞めて独立。その際にJTもピーターと共にアップルを辞めようとしたところ、同社より多額の罰金を請求されそうになったところを、穏便に退社させるように口添えしたのがポールなんですよね。ポールは既にアップルの問題点がアラン・クラインにあり、JTはピーターと一種に居るべきだと理解していたんですね。
その後のJTとピーターの活躍は皆さん、ご存じの通りですが、ワーナー移籍直後の簡素なフォーキー路線の当時の演奏の「Carolina in My Mind」もアップしておきます。よりメロディの素晴らしさが味わえます。
但しこのモーテルでの録音というのは異説もあり、デラニーのリビングルーム等で、いろいろな時期に録音したリハーサルトラックとも云われてます。本作は、レオンがフューチャーされたゴスペル風な楽曲と、デュアンがフューチャーされたカントリー風な楽曲に大別されますが、、実際、ジョー・コッカーが1970年3月から5月にかけて行われたアメリカ・ツアーでは、レオン・ラッセルが、デラニー&ボニー&フレンズのメンバーであったジム・ゴードンやカール・レイドル、ジム・ケルトナー等を引き抜いて参加。本作の前に発表された「To Bonnie from Delaney」では、デラニー&ボニーはデュアン・オールマンと組んで制作されてます。
つまりレオン参加時期やデュアン参加時期には微妙な違いもあり、本作では収録時期が違うものが混じっているということです。
それでもそうしたアウトテイク的な寄せ集めという感じは全くせず、実際に同時期にモーテルのロビーで収録した…と思わせるような素晴らしいアルバムとなってます。
ウィリー・ネルソン等、多くのアーチストにカバーされているトラディショナル・ソングの①「Where the Soul Never Dies」。https://www.youtube.com/watch?v=uo8nb-bIvdM
レオン・ラッセルの力強いピアノを中心としたアコースティックな演奏で、デラニー&ボニーはカントリー・ゴスペルなアレンジで盛り上げます。。タンバリンがやたらと煩いですね(笑)。
それにしてもヴォーカルが賑やかですよね。皆が思うがままに歌っている印象。大きい声はボニーでしょうか。途中からジョー・コッカーと思しき声も聞こえてきます。コレ、実際に皆が楽しそうに歌っている様子が目に浮かびますよね。
フォーキーなデラニー作の⑩「Sing My Way Home」。
https://www.youtube.com/watch?v=GtDwCzkQ1TE
曲自体は単純な曲で、ほのぼのした演奏ですが、ベースの音が気になりますね(スキャットですかね)。あとやはりデュアン・オールマンのスライドが隠し味となって、曲を引き立ててますね。デュアンはこの曲の他に2曲に参加しております。
デラニー&ボニーとレオン・ラッセルの共作の⑫「Lonesome and a Long Way from Home」は、エリック・クラプトンが1970年に発表したファーストソロに収録されていたナンバー。クラプトン・バージョンはホーンも用いたかなり派手なアレンジに仕上げてましたが、こちらはかなりカントリー風味なスワンプ。途中から登場するジョン・ハートフィールドのフィドルが実にイイ感じです。
本作はスタンダードジャズのナンバーと昭和歌謡曲がバランス良く収録されてますが、個人的にはやっぱりスタンダードジャズが好みです。
アルバム・トップはあまりにもスタンダードな①「Fly Me To The Moon」。
彼女は本作発表の翌年、なんとニューヨークの名門ジャズクラブ「バードランド」でライブを行ってます。その時のダイジェスト映像をアップしておきます。最初に「Fly Me To The Moon」が歌われてますが、実に堂々と、しかも楽しそうに歌ってますね。そして次はなんと「雨の慕情」のジャズバージョン。ちょっとボッサな感じが実にいいんですよ。
そしてこの映像、3曲目にはなんとヘレン・メリルが登場!
八代亜紀さんはヘレン・メリルに憧れていたらしいのですが、そのヘレンとの共演が実現。曲は「You'd Be So Nice To Come Home To」。この時へレンは82歳。ヘレンのヴォーカルも凄いが、それに渡り合っている八代亜紀のヴォーカルが更に凄い。是非、このシーンはチェックしてほしい。
ちなみにこの後の「舟歌」も圧巻です。
]]>オフコース「Three And Two」(1979)http://y240.exblog.jp/33211595/2024-01-06T06:44:00+09:002024-01-08T12:45:26+09:002024-01-06T06:44:33+09:00240_81979
1日にも早い復興を祈っております。
さて、前回のニール・ヤングからは全く関係のないセレクトとなってしまいました。今の気持ちを癒すにはオフコース…、しかも本作は私の長年のお供となっている1枚です。
個人的にはオフコースとは決して小田和正のバンドではなく、鈴木康博と小田和正が拮抗したバンド(ユニット)、二人がそれぞれ作る曲がバランス良く聞ける時代がオフコースであると思ってまして、この「Three And Two」が。オフコースというバンドとして発表した最高傑作だと思ってます。
1979年8月1日、松尾一彦、清水仁、大間ジローはオフコースに正式加入します。既に小田和正、鈴木康博とこの3人を交えたオフコースは本作のレコ―ディングを開始しており、最終的にこの作品は10月にリリースされることとなります。それがオフコース7枚目のアルバム「Three And Two」というわけです。
ジャケットはその新たに加入した3人だけが写っており、「オフコースってメンバーチェンジしたの?」って思わず想像しちゃうくらいのインパクト。もちろんレコード会社からは猛反発を喰らったらしいのですが、オフコースはコレで押し通したわけです。バンドとして強い決意、意気込みが感じられます。ちなみに下が裏ジャケです。
ヤスさん作の⑥「Save The Love」はギターのリフがボストンそのもの。
https://www.youtube.com/watch?v=ivM_8bj_wHA
この曲は8分強もある大作です。曲のドラマティックな展開自体も当時流行っていたボストンを思い起こさせますね。但し随所にオフコースらしさが溢れており、これもまた当時の彼等にしか出来なかった曲じゃないかなと感じます。この曲を聴く度に、当時のヤスさんはバンドに憧れていたのかなとも思ってしまいますが、すぐにここには自分の居場所はないと感じてしまったのでしょう。せっかくこうした曲も発表出来て、理想のバンドサウンドが築き上げられたと思ったのですが…。
個人的にはニールが在籍していたバッファロー・スプリングフィールドが大好きで、サードアルバム「Last Time Around」に収録されたニール作の「On The Way Home」や「I Am a Child」なんかは大好きな楽曲です。
あと実はニール・ヤングってモンキーズの作品にも(多分)1曲参加している楽曲があり、そのギターが如何にもニールらしいんです。その楽曲が「You And I」というディビー・ジョーンズが作った曲。スティーヴン・スティルスとモンキーズの関係から、この客演になったのか、経緯は不詳ですが、明らかにモンキーズの楽曲の中では異色のギタートーン(笑)。
ちなみにバッファロー・スプリングフィールドは同年5月に実質解散。ニールはその後、同年8月~10月にかけて、本作のレコ―ディングをしておりますが、よく調べてみると、このレコ―ディングに使ったスタジオ( Wally Heider's、Sunset Sound)で、モンキーズも「You And I」をレコ―ディングしていたので、たまたま居合わせたニールにモンキーズのディビーが声を掛けた可能性もありますね。
このファーストアルバムは全体的には暗い印象を残しているアルバムで、特にエンディングの⑩「The Last Trip to Tulsa」はギター1本で9分強、ニールの一人舞台。こちらがその暗い印象を決定付けてます。なかなか味わい深い1曲(特に中盤以降のギターを掻き鳴らしていくところ)なんですが、よく聴き込まないとその良さは分かりづらいので、ここでは敢えて紹介致しませんので、気になる方はYouTube等でチェックしてみて下さい。
ニール・ヤングは本作発表から半年経たずに、クレイジーホースと共に名作「Everybody Knows This Is Nowhere」を発表致します。凄い創作意欲だったんですね。
オープニングからインパクトが非常に大きい①「THE BIRTH OF THE ODYSSEY~MONKEY MAGIC」。
https://www.youtube.com/watch?v=TLV9HDmlyeM
「THE BIRTH OF THE ODYSSEY」はミッキー吉野作のプログレッシブなインストナンバー。シンセの使い方がカッコいい。恐らく元々この曲のアイデアがあったんでしょうね。そしてそれに続くオリエンタル・ファンクなタケカワユキヒデ作の「MONKEY MAGIC」。出だしの「アチャー!!」はベースのスティーヴ・フォックスのアドリブ。ライヴではドラムのトミー・シュナイダーが叫んでますね。
当時のライブでは定番ソングとなっていた⑥「STEPPIN' INTO YOUR WORLD」。
https://www.youtube.com/watch?v=hdPG5ZIcDmM
ちょっとオリエンテッドな香りのするアレンジはミッキー吉野ならでは。そしてこの曲はミッキー吉野の作品です。ちょっとコミカルでファンキーなナンバー。こうしたリズミカルなナンバーはゴダイゴが得意とするところ。
3曲収録されているオリジナル曲の内の1曲の⑨「Christmas In The Air」。ジョディとルイーズの共作。
かなりキュートなR&B風ポップス。この曲には賛否両論あるかもしれません。個人的にはキャロルの唱法には合っていない楽曲と思いながらも、楽曲自体は非常に好みなので…。
ロックフェラー・センターのクリスマス・ツリーで行われる恒例の点灯式で、キャロルがこの曲を披露している映像がアップされておりました(冒頭にトランプがニンマリした笑顔で映ってますね)。ルイーズも共演してます。もう既にキャロルの声はあまり出ておらず、音程もブレブレ(笑)。ライブとしての出来は今一つですが、娘と共演しているキャロルの表情、嬉しそうですよね。それでご勘弁下さい。この時、キャロルは69歳、ルイーズは51歳。見た目、若いですね…。