待望のクラプトンの記念すべきファーストソロアルバム。以前
Delaney&Bonnieのアルバムレビューを書きましたが、その流れで本作も購入、最近よく聴いてます。
ブラインド・フェイス解散後にデラニー&ボニーのツアーに参加したクラプトンは、彼等のスワンプサウンドに傾倒し、ついに自らもスワンピーなアルバムを発表します。
プロデュースはデラニー・ブラムレット。レコーディングに参加したメンバーは以下の通り。
Delaney Bramlett - Rhythm Guitar and Vocals
Leon Russell - Piano
Bobby Whitlock - Organ and Vocals
John Simon - Piano
Carl Radle - Bass
Jim Gordon - Drums
Jim Price - Trumpet
Bob Keys - Saxophone
Tex Johnson - Percussion
Rita Coolidge - Vocals
Sonny Curtis - Vocals
Jerry Allison - Vocals
Stephen Stills - Vocals
この面子、音楽を楽しむ一味、デラニー&ボニー&フレンズのメンバーと言ってもいいかもしれません。このアルバムからも自ら音楽を楽しんでいる様子が窺える仕上がりになってますね。
ファーストソロアルバムの1曲目がインストというのもクラプトンらしいかもしれません。その①「
Slunky」はファンキーなサックスがフューチャーされた黒っぽいサウンドが特徴。単純なメロディの繰り返しですが、ノリで聴かせてしまいます。結構こういった曲は好みです^^。
静止画のみの映像をアップしておきますが、この曲、何も知らないで聴くと、流石にクラプトンと分かる人はあまりいないかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=-rIRssMTiAE2曲目は得意のブルース調の楽曲②「Bad Boy」。まだ初々しいクラプトンのヴォーカルが微笑ましいですね。
③「
Lonesome and a Long Way from Home」はレオン・ラッセルが作曲に参加。
スタックス系サウンドで、これぞスワンプという感じがします。今のクラプトンからは想像がつきませんが、こうしたスワンプのクラプトンもいいものです。
本作からはJ.J. Caleの④「After Midnight」がシングルカットされました。
軽快なロックンロールですね。でもシングルカットするならクラプトンのオリジナルが選ばれてもいいのに・・・。ここでのクラプトンの作品は冴え渡っていますから。本作中唯一のカバーソングがシングルになぜ選ばれたのか不思議です。
ちなみにJ.J. Caleはレオン・ラッセルが設立したシェルター・レコードで働いていたギタリスト兼エンジニア。そして1971年にこの曲を含むデビュー作を発表します。このデビュー作には本作でも演奏しているCarl Radle(B)が参加しています。
本作中、ちょっと異作なのが⑤「Easy Now」。
クラプトン単独の作品。裏声を交えたクラプトンのヴォーカルがいいんですよね~。アコギのカッティングも心地いいフォークタッチの隠れた名曲。スワンプを全面に押し出した力強いヴォーカルもいいのですが、クラプトンはこうしたリラックス系のヴォーカルが似合っているような気がします。
ちょっとサザンソウル的な⑨「Told You for the Last Time」を聴くと、なぜかロッド・スチュアートを連想してしまいます。特に出だしのクラプトンの唄い方、なんとなくロッドに似ています。
後のデレク&ザ・ドミノスの楽曲に近いのが⑪「Let It Rain」。これは名曲ですね~。スワンプ系の曲はメジャーになりきれないところがありますが、そのスワンプを見事にクラプトンサウンドに消化した1曲。エンディングのランニングベースが心地いいです。
アップした映像はドラムがなんとフィル・コリンズ、ベースはネイザン・イースト、キーボードにグレッグ・フィリンゲインズのスーパーバンド。やっぱりフィル・コリンズのドラミングはスゴイ!
クリーム、ブラインド・フェイスと華やかな道を歩んできたエリック・クラプトン。そのクラプトンにしては、このデビューアルバム、ハードな面が極めて少なく、音楽を楽しむ姿勢が全面に出ていてギタリスト・クラプトンを好む方々にとっては地味かもしれませんが、スワンプ系音楽を好む方々にとっては素晴らしい名盤ですね。個人的にはクラプトンの作品のなかでも大好きな1枚です。