アサイラム・レコードとジャクソン・ブラウン。皆さん、ご存知のように、この2者は切っても切り離せない関係にありますね(アサイラムというかデヴィッド・ゲフィンといっていいでしょう)。
そしてジャクソン・ブラウンの初期3部作「Jackson Browne」「For Everyman」「Late For The Sky」がアサイラム勃興の一躍を担ったことは間違いありません。
セカンドアルバムである「For Everyman」は、この3枚のなかの立ち位置で言えば、ちょっと地味な印象かもしれませんが、実は非常に味わい深いアルバムです。
本作で一番有名な曲は①「
Take It Easy」でしょう。もちろんイーグルスのデビュー曲として有名で、イーグルスのグレン・フライとドン・ヘンリー、そしてジャクソン・ブラウンの共作です。個人的にはイーグルスのヴァージョンに耳が馴染んでしまっているのか、ジャクソン・ヴァージョンのドラムが16ビートを刻むところとか、ちょっと違和感を感じてしまいます。
しかし本作での聴きどころは①ではなく、むしろそれに続く~⑩までの素晴らしい楽曲でしょうね。①~②へフェードインする間もなく始まる②「
Our Lady Of The Well」。カントリー系の味わい深い曲です。印象深いスティール・ギターはSneaky Pete Kleinow。
力強いヴォーカルの③「
Colors Of The Sun」。間奏直前、
♪ fall behind their little bits of time ~~~ ♪ のタ~イムとブレスなしで歌いきるところなんか迫力があります。一緒にハーモニーをつけている女性らしきヴォーカルはDon Henley ですね^^。
地味ですが、爽やかでほろ苦い④「
I Thought I Was A Child」なんかは私好みです。
添付の映像でもお分かりの通り、鬼才デヴィッド・リンドレーの演奏が光ります。それ以上に、バックのベーシストのTシャツに私なんかはニヤリとしてしまいます(笑)。
ジャクソン・ブラウン=デヴィッド・リンドレーのコンビはこのアルバムからでしたね。ギターはもちろんフィドルやペダルスティールギター等を自由に操るデヴィッドは、間違いなくこのアルバムのもう一人の主役です。
そのデヴィッドのネチッこいギタープレイが光る⑤「
These Days」はジャクソン・ブラウンの代表曲といえるかもしれません。ちょっと重たいドラムはJim Keltnerです。
シンプルな演奏なのに、なぜかずしりと来るものがありますね。エンディングのデヴィッドのスライドが見事です。スライドってカントリー臭いものと思ってましたが、彼のスライドは熱いものを感じさせます。
アップした映像は、そのデヴィッドの演奏が堪能出来ます。
⑥「
Redneck Friend」にも触れておきましょうか。ノリノリのロックンロールですが、ピアノで参加しているRockaday Johnnieなる人物。もちろんエルトン・ジョンのことですね^^。
本作のじんわりくる楽曲群のなかでは、ちょっと違和感のある曲です。
本作では恐らくタイトルソングである⑩「
For Everyman」が一番人気のある曲かもしれませんね。わたしも大好きです。
この曲がCS&Nの「Wooden Ships」のアンサーソングであることは有名な話ですね。デヴィッド・クロスビー作の「Wooden Ships」では放射能に犯された島を脱出するというストーリーですが、ジャクソンは「残された人はどうするのか?」といった問題提起をしています。
♪ Waiting here for Everyman ♪ と歌うんですね。
実はこの曲にデヴィッド・クロスビーはコーラスで参加しています。
当時のアサイラム系、SSW系の方々って、結束が堅いんですよね。