本作では⑫「Time of the Season」が最近もCMで使われ、あまりにも有名な曲となってしまいましたが、あの独特のブルージーで怪しげなポップスはむしろ本作では例外な楽曲。 もちろん「Time of the Season」はジャズ風エッセンスを散りばめた超一級品のポップスですが、他の楽曲はビートルズやビーチボーイズ、アソシエイション系ポップスといったものですね。
ゾンビーズは1961年に結成されたブリティッシュ・ビート系バンド。1964年のデビュー曲「She's Not There」が大ヒットしたものの、その後ヒットは続かず、レコード会社もCBSへ移籍。1967年6月よりメンバーのロッド・エージェントとクリス・ホワイトが中心となり、本作のレコーディングを開始。レコーディングはあのアビーロードスタジオを中心に11月まで行われ、1968年4月に本作が発表されます。
ではなぜ「Time of the Season」がその後ヒットしたか? 本作に注目したのが、あのアル・クーパーだったのです。当時アルはCBSのスタッフ・プロデューサーであり、本作の素晴らしさに感動し、彼がプッシュ。そして1968年11月に「Time of the Season」を再発し、全米3位の大ヒットを記録します。 これを受けて偽ゾンビーズも登場したらしいのですが、結局本家ゾンビーズの再結成は実現しませんでした。
さてさて本作ですが「Time of the Season」のイメージで聴き始めると、冒頭①「Care of Cell 44」から驚かれることでしょう。間奏のアカペラ部分や、随所に散りばめたコーラスは明らかにビーチボーイズ風ですし、ベースはポール・マッカートニーっぽいセンスあるもので、ポップス指数100%の名曲ですね。 随所に使われているメロトロンは、実は予算の関係でスタジオミュージシャンを呼べなかったために使用したものらしいのですが、これがまた効果的です。もうこの1曲だけで至福の時間を過ごせます。
他にもピアノと美しいコーラス主体の②「A Rose for Emily」はあまりにも美しい楽曲だし、「ペットサウンズ」に収録されても違和感がない組曲風⑦「Changes」もいいですね。
ちなみに私のお気に入りの楽曲は⑧「I Want Her, She Wants Me」と⑪「Friends of Mine」。この2曲とも①と同様、素晴らしいポップス的メロディと軽やかなコーラスワークが堪能できます。 特に「Friends of Mine」は名作ですよ。これもとりあえず曲が聴けるものをアップしておきます。間奏のギターソロのグルーヴ感、ベースのノリ、甘いコーラス、それも素晴らしい。
YouTubeの3曲を聴くだけでも、「Time of the Season」とは違うことがお分かり頂けたかと思います。
このアルバムはおどろおどろしいジャケット・デザインとグループ名のために、聴く前から敬遠される方が多いようですね。
でも、そんな外見(?)とは裏腹に、このアルバムは本当に素晴らしい作品ですね!
このアルバムでは「Time of the Season」が最も有名なので、それ目当てで購入される方も多いと思いますが、このアルバムにはそれ以上に素晴らしい曲が沢山収められていると思います。
240さんが記事中で挙げられていました、「Care of Cell 44」や「Friends of Mine」などは私も大好きな曲です。
このアルバムには本当に捨て曲がありませんね!
このアルバムの素晴らしさを更に楽しむ為のアイテムをもう一つ。それはzombie名義ではないですがコリンとロッドが06年に行った(来日もした!)ライブを収めた「ライヴ・アット・ザ・ブルームズベリー」。曲目は「オデッセイ〜」からも Time of〜はもちろんRose For Emily、Beechwood Park(この二曲はロッドはライブでやるのは初めてとコメントしている)もやってます!全曲、現役バリバリのコリンの声とロッドのプレイに感動ものでが、中でもalan person projectでコリンがボーカルで参加したOld And Wiseが最高です(この曲はsunday song bookでも山下達郎さんが
絶賛してました)。価格も2625円と安いですし絶対お薦めです。