正真正銘ロジャニコの40年振りの新作、素晴らしい・・・12月19日は今年最大の新作、特に待ち焦がれた良作のリリースラッシュでしたね。再発ではアルバート・ハモンド、ジャニス・ジョップリン、ディオ、ローラ・ニーロ等、邦楽ではBump of Chicken、コブクロ等・・・。そんななかで私が購入した1枚は当然ながらRoger Nichols & the Small Circle of Friends(以下SCOF)です。このリリースのニュースを知ったとき、過去に収録したアウトテイクものではないかと疑っていたのですが、コレ、正真正銘の新録音ヴァージョンでした。
既に今月号のレココレでも2頁の特集が組まれてます。余談ですが今月号のレココレにイーグルスの新作がレビューされてますが、他紙にはない、かなり大胆な批評がされてます。イマイチイーグルスの新作に100%納得できない私としては、妙味納得してしまいました。
すみません、脱線しましたが、本作、既にブログ仲間の
shintanさんも記事にされていますし、他メディアでも採り上げられているようなので、私も遅れまいと早速アップしました(笑)。
Roger Nichols & the Small Circle of Friendsはロジャーとマレイ、メリンダのマクレオド兄妹のトリオのコーラスグループです。1968年発表の
前作は今やソフトロックのバイブルと化してますが、その作品からおよそ40年振りの新作です。中ジャケにはご丁寧に今の彼等の写真が掲載されてます。えっ、誰??って感じですよ(笑)。またロジャーの3人のかわいい娘さんもレコーディングに参加したようです。
まずハード面で驚いたのは見開きの紙ジャケで、ライナーノーツも充実した丁寧な作りとなっていること。またこの新作に対して、リチャード・カーペンターやポール・ウィリアムス、ジョン・ベティス等がコメントを寄せております。皆さん、興味深いコメントを寄せておりますよ。これらは必見です。
それからジャケがドリーミーでいいですよね。ソフトロックの良心を表してます・・・。
さてその中身ですが、これがまた素晴らしい。
①「
Talk It Over In the Morning」のイントロ、さすがに演奏は現代の音ですが、歌いだしを聴いた瞬間に、「あ~、あのSCOFの世界だ」と思ってしまいました。やはりSCOFのコーラスはドリーミーな世界観を持ってますね。
③「Let Me Be The One」はカーペンターズ、④「Out In The Country」はスリー・ドッグ・ナイトで有名な楽曲ですね。
そして私の好きな⑤「I Kept On Loving You」。軽快なアコギが爽やかなポップスです。SCOFはこうした爽やかなポップスがお似合いなんですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=xN1iyH6liT8本作中、唯一の欠点が⑥「The Winner's Theme」。これは1980年のモスクワ・オリンピックのテーマ曲として作られたもので、インストものです。いかにもスポーツのBGMらしい楽曲で、勇気が出てくるような楽曲なのですが、SCOFの本来の魅力はコーラスのはず。なぜこの曲がセレクトされたのか、ちょっと違和感がありますね。
尚、この曲のリード・トランペットはチャック・フィンドレイ、リズム・セクションはTOTOとのこと。言われてみればリズムの際立ちはジェフ・ポーカロのドラムのような気もします。
⑦「
You're Foolin' Nobody」はロジャニコ&ポール・ウィリアムスの作品でありながら、一度も発表されてこなかった楽曲。
あのアソシエイションの「Windy」に似てなくもないです。でもなぜこんな素晴らしいポップスが一度も日の目を見なかったのか・・・。アップテンポの、これもまたSCOFらしいポップスですね。
本作中、私の一番のお気に入りは⑩「I'm Comin' to the Best Part of My Life」。
あのママス&パパスのキャス・エリオットが1973年に発表したソロアルバムに収録されていた楽曲で、この曲のバックはデイヴィッド・フォスター(p)、ジェイ・グレイドン(g)、マイク・ベアード(Ds)、ジャック・コンラッド(B)。この曲のみ当時のデモテープから演奏を引用したらしいのですが、このAORの超スーパーメンバーが演奏している割には、AOR指数は低いですね。このコーラスをかぶせたら完全にSCOFワールドですね(笑)。
この曲なんかファーストに収録されていても違和感ありません。間奏のホーンが奏でるソロはソフトロックの典型です。
本作、本当に素晴らしいポップス集です。心が純粋にワクワクする音楽って最近少ないと思いませんか? そういった意味では本作はワクワク感がどの曲にもありますね。ソフトロックって60年代の音楽というイメージがありますが、これは2007年に発表されたピュアなソフトロックです。有難う、ロジャー!!!
尚、本作、このライナーノーツの寄稿者である濱田高志氏自身が企画したもの。彼のライナーノーツもなかなか興味深いものがあります。私は不覚にも濱田氏のことは存じ上げていなかったのですが、著名な音楽ライター兼アンソロジストとのこと。しかも私と同い年とは!!! 実は同世代の日本人がこんな素晴らしいアルバムを企画したなんて、嬉しいですね~。濱田氏にも感謝!!!