ジム・モリスンの遺作であり、骨太なドアーズのアルバム今年はドアーズ結成40周年ということで、これからドアーズ関連のアルバムがいろいろとリリースされます。まずは25日のベスト盤、8月29日のオリジナルアルバム6枚の紙ジャケ化と続きますね。
さてドアーズですが、この偉大なるバンドをご存知ない方も多いのではないでしょうか?
1960年代後半を中心に活躍したバンドで、ヴォーカルのジム・モリスンの文学的かつ風刺の効いた詞と、セクシャラスなステージング、ブルースを土台にオルガンを中心に据えた独特の音楽など非常に個性的なバンドでした。
1967年、2枚目のシングル「Light My Fire」が大ヒット。以下映像をリンクしておきますが、ジム・モリスンの目が完全にイッてますね。
どうですか~。怪しいですよね。サイケ感覚も混じってますが、クオリティの高い音楽だと思います。
そして本作、遅ればせながらオフで購入。
1969年11月、あのマイアミのコンサートでジムはスキャンダラスな行為をしたとして起訴され、以後1年半近く裁判に時間を浪費します。その後1971年、本作を発表。その不満を晴らすような、かなり骨太なロックを聴かせてくれます。ジャケもかっこいいです。
ちなみに私の愛読書であり、辛口で有名な「ローリングストーン・レコードガイド」では本作は★★★★★の満点評価で、以下のような素晴らしいコメントをしてます。以下引用。
『このLPはドアーズをこれほど興味深いバンドに仕上げたすべての要素を、取り混ぜて詳細に紹介したものと言える』
相変わらずオルガンがスパイスとして効いてますが、かなりタイトな①「
The Changeling」。ジムの声はドラッグ等でだみ声っぽいですが、それでも怪しげな魅力を放ってます。それにしてもバンド演奏が引き締まってますね。本作はベースにジェリー・シェフ、ギターにマーク・べノをゲストに迎えて収録、かつプロデュースは過去5作のエンジニアだったブルース・ボトニックが手がけており、そういったことがいい方向に作用しております。
②「
Love Her Madly」はちょっと初期の怪しさとポップさが同居したドアーズらしい曲。
このオルガンの音が無ければ、ドアーズは怪しげなサイケバンドのひとつとしてしか見られなかったかもしれません。
本作のハイライトのひとつが⑤「L.A.Woman」でしょう。
7分を超す大作ですが、ソリッドな演奏で、この疾走感が堪りません。個人的には長演奏の多くが、緊張感を維持出来ずに聴いていて飽きてくるものが殆どですが、このトラックは無駄がなく、最後までスリリングに聴かせてくれます。
ドアーズってゲテものっぽく見ている方もいらっしゃるかもしれませんが(いや、このブログを見に来ている方にはそんな方はいらっしゃらないでしょうね^^)、コレを聴いていただければ最高なロックバンドだったと思って頂けるでしょうね。
⑦「Hyacinth House」はデビュー30周年を記念した発表されたデモトラックにも収録されていた名曲。
詞はヒヤシンスのギリシヤ神話とジムを結びつけたものらしいです。わずか3分ちょっとの曲ですが、40年近く前の楽曲とは思えない、味わい深い曲です。隠し味のオルガンの演奏がいいですね。
古典的ブルース、ジョン・リー・フッカー作のカバー⑧「Crawling King Snake」。
古いレパートリーと思われますが、コレが収録されているところにバンドの気合を感じさせます。かなりブルージーに演奏してます。この演奏、どことなくBeatlesの「Come Together」に似ていると思いませんか?
そして本作のもうひとつのハイライトが⑩「Riders on the Storm」。
落雷の音と共にドアーズらしいクールな演奏で始まるこの曲、これも7分以上の大作です。レイ・マンザレックの知的なオルガンがアドリブ的ソロを奏でていきますが、バンド演奏に一定の緊張感があるので、これも全く冗長感がないですね。次のドアーズを予感させるものです。
しかし1971年7月3日、ジムは帰らぬ人となってしまいます。3人のドアーズは後に2枚アルバムを発表しますが、やはりジム抜きのドアーズはドアーズではないのです。強烈な個性のジムのヴォーカルあってのドアーズでした。
ドアーズの素晴らしさはいろいろな本に書かれてありますが、再び「ローリングストーン・レコードガイド」からドアーズに対する最高の賛辞を一部引用しておきます。
『生意気、勇敢、知的、冒険的、刺激的。ドアーズにはこのすべて、いや、それ以上のものがあった。60年代後期にウエストコーストから出たすべてのグループの中で、彼等だけがLPとシングルの両方のヒットを通じて一貫してアメリカの本質に、聴き手の頭をしばしば悩ますメッセージでせまるのに成功した。』