怒れるロッカーの洒落たアルバムスティングとポール・ウェラー。この2人、両者ともバンド解散後の音楽性が大きく変化していったという意味では似てますね。前掲記事の通りスティングはジャズ志向へ。そしてポール・ウェラーはモッズバンドであったThe Jamとは大きく変わり、The Style Councilでボサノバ・ジャズ・ソウル・フレンチポップ・ファンク等を貪欲に吸収した洒落た音楽を発表していきます。
本作は1985年に発表したスタカンのセカンドアルバムです。
リアルタイムでは⑭「Walls Come Tumbling Down!」と⑮「Shout to the Top」が大ヒットを記録していたので、よく聴いてました。
当時から名曲然とした⑮「
Shout to the Top」は今聴くと、ストリングアレンジがロジャーニコルズ&ザ・スモールサークル・オブ・フレンズっぽいですね。ポール・ウェラーはロジャニコの存在を知っていたのでしょうか??
しかし今の人にとってはこのイントロを聴いてフジテレビの「特ダネ」を連想してしまうのでしょうね。もちろん洋楽オンチのうちのカミさんも100%間違いなく、そういう反応をするでしょうね。ちょっと悲しいですが…。
それからパンキッシュな⑭「
Walls Come Tumbling Down!」。当時も「Shout・・・」よりこっちのほうが好きでしたね。ポールのソウルフルなシャウトとD.C.Leeの絡みヴォーカルが刺激的だし、メロディもいいんですよね~。名曲です!
でも今この曲の詞を読み返すと、実はメロディだけでなく詞も凄くパンキッシュなんですね~。
だって題名からして「!」が付いてますからね(笑)。
♪ 僕たちはいつだって権威を信頼しろと教えられてきたけど、やってみなけりゃ、分からないじゃないか ♪
この詞って、以前ご紹介したザ・フーの「
Won't Get Fooled Again」に似ていると思いませんか??
間違いなくポールはこの曲を下敷きにしたと思われます(多分)。
本作、もちろん⑭⑮の強烈な曲も魅力的ですが、②~④の流れも非常に魅力的ですね。
②「
All Gone Away」はボサノバ・ポップ。
まさにフリッパーズ・ギターのようなネオアコの世界。木漏れ日が差す天気には最高な1曲ですよ。フルートがフレンチポップっぽくていいですね~。
③「Come to Milton Keynes」がまたえらいポップ。ポールどうしたの???と思ってしまうほどのポップソング。これもロジャニコっぽい。
渋谷系といわれた人達(フリッパーズギター等)がスタカンやロジャニコを下敷きにしたと云われてますが、やっぱりポールもロジャニコが好きだったんでしょうかね。
(ちなみにロジャニコは海外では殆ど知名度がないらしいので、本当に好きだったらポールもマニアですね)
楽曲はお洒落でも詞は相変わらず怒っている、魂の籠もったアルバムです!