新年早々、オフでJ-POPの名盤を何枚か購入しました。その内の1枚が本作、佐野元春のセカンドアルバム。
佐野元春が商業的に大成功を収めるのは、もう1年、
「SOMEDAY」のヒットまで待たなければならないのですが、こちらも負けず劣らずの名盤。この当時は佐野元春バンドであるハートランドのメンバーは固定化されておらず、本作のドラマーは古田たかしではありません。でもその音はブルース・スプリングスティーンのバンド、Eストリートバンドやビリー・ジョエル・バンドを彷彿させるような音だし、既に本作で、洋楽ポップスを自身の音に昇華させた初期元春サウンドが確立されたと思ってます。
初期佐野元春の代表作といえば①「ガラスのジェネレーション」。歌詞の最後の ♪ つまらない大人にはなりたくない ♪ を自身を鼓舞する賛歌として捉えている方々も多いのではないのでしょうか。どれだけの方が「つまらない大人」になってしまったのか。またそうであったとしても、この曲を聴いて、初心の熱い想いを取り戻しているという方もいらっしゃるでしょう。ラブソングでありながらも、それを超越してしまった歌詞は佐野さんならでは。またメロディはニック・ロウの
「CRUEL TO BE KIND」からの影響が大きい。ひょっとしたらポップスマニアの伊藤銀次さんあたりが示唆したのかもしれませんね。
あと ♪ この街のクレイジー・プリティ・フラミンゴ ♪って歌詞を聴いて、サードアルバム「SOMEDAY」のジャケットを連想してしまうのは私だけでしょうか。
私の本作中、一番のお気に入りが③「バルセロナの夜」。実にメロウなバラードです。メロウなメロディとアレンジ、そして洒落た歌詞。ここでの絶妙に絡んでくるサックス、ドラムのアレンジは明らかにビリー・ジョエルの名作「
Just The Way You Are」を模倣したもの。でも楽曲自体は佐野元春の独特の歌詞と歌い方が独自のオリジナリティを生んでおり、自身のサウンドとして昇華しているところがスゴイです。
アップしたのはカバーですが、なかなか秀逸な出来です。
こちらも名バラードの⑤「彼女」。引き潮のように彼女への想いが引いていく…。とびっきりpopなロックンロールが似合う佐野さんですが、悲しくも切ないバラードも素晴らしい。
アップしたのは、珍しくピアノの弾き語りを披露するシーン。
佐野元春流ロックンロールが炸裂した⑥「悲しきRADIO」。歌詞にはジーン・ビンセント、チャック・ベリー、リトル・リチャード、バディ・ホリーといった往年のロックンローラーの名前も。
アップした映像は熱いライブバージョン。このライブを見れば、吉川晃司や尾崎豊も佐野元春から影響を受けたことがよく分かると思います。
⑦「Good Vibration」…。ビーチボーイズの代表作と同タイトル。その曲からの影響は感じられませんが、これも明らかにドゥービー・ブラザーズ、いやマイケル・マクドナルドが得意としたキーボード・リフを拝借したもの。それでも素晴らしいJ-POPに仕上がってます。
バーズのような12弦風なギターの音色が印象的な⑧「君をさがしている(朝が来るまで)」。やけにベースの音が強調されたバンド・サウンドに仕上がっている、これもまたロックンロールソング。曲の雰囲気だけ知ってもらえればと、カバーソングをアップしておきます(佐野さんの楽曲、やっぱり極端にYouTubeにないですね~)。
エンディングはタイトルトラックの⑩「Heart Beat」。叙情感たっぷりな歌詞、情景が思い浮かんで来ます。8分にも及ぶバラッドであり、この曲が大好きというファンも多いはず。
アップした映像は、音質は良くないし、曲が始まるまで1分強ありますが、十分佐野さんの熱唱振りが堪能できると思います。
佐野元春の初期3部作、セルフプロデュース&バンドメンバーが固定化されたサードアルバム「SOMEDAY」が、あまりにも素晴らしいアルバムで、その一歩手前の本作が見過ごしがちですが、やっぱり素晴らしい。ガラスのジェネレーションは音源アップ出来ませんでしたが、もし聴かれたことがない方がいらっしゃれば、一度聞いてみて下さい。