今更で恐縮ですが、スティーリー・ダンの8作目、「Two Against Nature」をご紹介。先日、ウォルター・ベッカーが亡くなったことは記憶に新しいと思いますが、その際にこのアルバム(そしてこの後の「Everything Must Go」も)を聴いていなかったなあと思っていた矢先、オフで本作を格安で購入。改めてリピートしまくっている次第。
「Aja」や「Gaucho」で売れっ子スタジオミュージシャンを起用して、完璧なまでのサウンドを作り上げていったスティーリー・ダン。プロデューサーのゲイリー・カッツとドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカーが作り上げた世界観は多くのフォロワーを生んだわけですが、あれから20年、本作ではどんな姿を現していたのか、すごく気になって聴き始めました。最初は正直、曲ごとの特徴が掴みづらく、またいつもの売れっ子ミュージシャンのプレイに注目!っていった訳でもなく、スルーしそうになってしまいました。でもゴルフからの帰り、車中でじっくり聴いてみると、コレがまた心地いいんですね~。すごく古くて新しいって感じがするんですよね。
アルバムタイトルトラックの③「Two Against Nature」。イントロからラテン・フレイヴァーたっぷり。明るい陽気なメロディかと思いきや、やっぱりそこはスティーリー・ダン。相当捻くれてますね(笑)。しばらく同じコード展開で単調。なんか不思議なリズムだなと思ったら、6/8の変拍子なんですね。メロディだけ取り出したらつまらないんですが、ホーンとかギターとか、よく聴くと楽器のアレンジが緻密。フリージャズっぽいところもあったりして、音で聴かせていくって感じでしょうか。
すごく「Aja」に収録されていた「Deacon Blues」に雰囲気が似ている⑤「Almost Gothic」。この音は「Aja」のアルバムに収録されていても違和感ありません。クールなアルト・サックスがカッコイイですね。あまり目立ったプレイではありませんが、ギターはヒュー・マクラッケンです。
ブルージー、かつジャージーな⑥「Jack of Speed」は如何にもフェイゲンが好みそうなサウンド。シャッフル・ビートと適度に鳴り響くホーンが心地いいですね。随所に聴かれるいぶし銀のギターはウォルター・ベッカー。せっかくなので、ウォルターのギタープレイも見て貰いたく、彼らの演奏シーンをアップしてみました。
ファーストシングルの⑦「Cousin Dupree」はスティーリー・ダン風のR&B。彼らにしては珍しく(?)キャッチーなサビを持つナンバー。音のアレンジに騙されそうですが、この曲、基本はフィフティーズ・ロックンロールやR&Bを模倣したフェイゲン色の濃い作品だと思います。結構好きですね~。
エンディングの⑨「West of Hollywood」は8分強のスティーリー・ダンお得にの長尺ナンバー。優しいエレピに導かれるイントロはスローナンバーを連想させますが、そこから一転、スピーディーなナンバーに。ここでの聴き所はウォルター・ベッカーのリード・ギターでしょうか。相変わらずいぶし銀的なプレイに徹してます。サックス・ソロが入ってくる後段からは、フュージョン的な要素も感じられます。
20年経ってもスティーリー・ダンは相変わらず…。でも本作発表から、もう17,8年が経過しているんですね。本作がそれくらい前の作品であるって、全く感じさせません。それにしてもウォルター・ベッカーの死といい、時の流れは早いものです…。