この週末は寒そうですね~。皆さん、体調管理にはご留意ください。
さて、今回はゲイリー・ムーアのアルバムを採り上げます。私なんかはゲイリーというとハードロッカーのイメージが強く、特にあの名曲「HIROSHIMA」を収録した1983年発表の
「Dirty Fingers」なんかが大好きです。で…、今回ご紹介するアルバムはゲイリー10枚目のアルバム、1990年に発表された「Still Got The Blues」 。タイトル通り、ゲイリーがブルースへ回帰したアルバムなんです。
ブルースというと、私自身も苦手意識が強いのですが、本作は非常に聴きやすい仕上がりになってます。また当時親交のあったジョージ・ハリスンの他、アメリカのブルース・ギターの名手アルバート・キング、アルバート・コリンズらがゲスト参加してます。そして全曲、ピーター・グリーンから受け継いだ1959年製ギブソン・レスポールを使用する徹底ぶり。もともとブルースが大好きだったゲイリーですが、ハードロッカーがブルースをやったらこうなるっていう典型的な音。実にカッコいいのです。ジャケットもゲイリー少年(?)が熱心にブルースをコピーしているのでしょうか。ジミ・ヘンドリックスのポスターもいいアクセントですね。
ゲイリーオリジナルの①「Moving On」は本作中、一番ブルース臭が薄いロックナンバー。とはいえブルースハープが鳴っていたり、ギターをスライド奏法で弾いていたりと土臭い仕上がり。ライブでは、ゲイリー、この曲を歌いながらもスライド奏法で弾いてます。ソロもチョーキングしまくっていてカッコいいですね。
ジミー・ロジャース作の③「Walking by myself」はブルースというよりも、ブギーロックと呼んだ方がいいくらい間奏のゲイリーのギターソロが速弾きしてます。アップしたライブ映像では、我慢できなかったのか、もうイントロの部分から速弾きしまくり(笑)。
絶品の泣きのバラードの④「Still Got the Blues」。もちろんゲイリーのオリジナル作品です。ゲイリーの泣きのギターは「パリの散歩道」であまりにも有名となりましたが、この「Still Got the Blues」も「パリの散歩道」と並び称される名作です。当時、ゲイリーのヴォーカルって、あまりイメージがなかったのですが、こうしてバラードを聴いてみると、結構上手いですよね。
こちらもゲイリーのオリジナルの⑤「Texas Strut」。私が本作で一番お気に入りのナンバーです。 イントロとエンディングではスローなブルース展開ですが、そららに挟まれた間のパートはスピーディで白熱したテキサス・ブギー。シャッフルビートが強烈な、本作中、一番熱いナンバーです。ドン・エイリー(Key)、ボブ・ディズリー(B)、ブライアン・ダウニー(Ds)の気心のしれたメンバーとの名演。外人って、こうしたシャッフルのビート感覚、上手いですよね。
ジョニー・ギター・ワトソンがオリジナルのアルバート・コリンズとの共演の⑥「Too tired」は、ミュージック・ビデオが秀逸。なんとアルバートも出演しております!そのMTVをアップしておきます(アルバートは1993年に亡くなっていたんですね)。お互いがギターを弾くことが好きで好きで堪らないって感じです。
⑩「That Kind of Woman」はなんとジョージ・ハリソンの曲。ジョージがプレゼントした楽曲で、そのデモテープはエリック・クラプトンが作り、エリックが歌っていたものだったらしい。ジョージはスライド・ギターで参加。確かにポップな香りがします。イントロだけ、プリンセス・プリンセスの「Let's Get Crazy」にそっくり(笑)。ポップな人がブルース・ブギーを意識すると、こうなるのかもしれません。
アルバムには、もっとブルース臭の強い曲もあったり、バラエティに富んで、聴き手を飽きさせません。ゲイリーはその後もB.B.キングとの共演や、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーとバンドを組んだりと、積極的な活動を展開するも、2011年2月、58歳の若さで亡くなってしまいます。まだ若かったのに、残念ですね。