現役で活躍中のアーチストで、未だに新作発表が待ち遠しいと感じる方のひとりがジョン・メイヤー。彼の新作は、毎回刺激的です。
最近発表された本作は前作
「Paradise Valley」から4年振りとなる新作。前作ではかなりレイドバックしたカントリースタイルで、初期ジョン・メイヤー・ファンの多くの方々が戸惑ったのではないでしょうか。もともとジミヘンばりに、バリバリギターを弾きまくっていたロック少年が基本のようなイメージでもあったので。ただ私自身はカントリーが大好きなので、違和感なく、大好きな1枚となったのですが。
そして本作…、またまた見事に期待を大きく裏切ってくれました、もちろんいい意味で。今までの彼の作品の中でも、一番の愛聴盤となりそうです。
今回は先行してEP形式にて「Wave One」「Wave Two」と4曲ずつ、2回に分けて発表。本作はその2枚のEP+4曲(⑤⑦⑨⑩)を収録したアルバムです。こうした発表の仕方には違和感はあるものの、内容自体は非常に素晴らしいのです(ただし虚ろな目をしたJohnのジャケットは、あまりいいとは思えませんが)。
ジョンとの共同プロデューサーには、長年サウンド・エンジニアとして付き合いの深いチャド・フランスコービアックを起用。バンド・メンバーはジョンとトリオを組んだスティーヴ・ジョーダン(Ds)、ピノ・バラディーノ(B)がコアメンバー。落ち着いた演奏を聞かせてくれてます。
まずはアルバムトップを飾るWave Twoで発表された①「Still Feel Like Your Man」が非常にいい!
いきなりファルセットヴォイスを駆使したサビ…、ソフィスティケートされた演奏、実に洒落てます。ここにはブルージーなギターを弾きまくるジョンではなく、R&B系のオシャレなシンガーのジョンがいます。この曲、最初にラジオで聴いたとき、正直、ジョン・メイヤーと気付くのに時間がかかりました。
初期ジョン・メイヤーを彷彿させるフォーキーで素朴なメロディが魅了の②「Emoji of a Wave」。Emoji…??? 絵文字・・・、ですよね(笑)。歌詞にemojiという単語は出てきませんが、日本好きのジョンらしい。この曲、美しいハーモニーが魅力のひとつですが、これはビーチボーイズのアル・ジャーディンとその息子が参加したものです(たまたまスタジオに居たらしい)。
ブルース好きなジョンらしい1曲が③「Helpless」。ストーンズっぽいですし、往年のジョン・ファンも納得の1曲かもしれません。①②とは全く違うジョンの世界ですね。この曲もジョンの魅力が十分発揮された楽曲。ブルージーなジョンのギターもいいですね。
最近流行りの肩の力を抜いたような楽曲の④「Love on the Weekend」。これもジョンの新境地かもしれません。曲調と同様に淡々と週末の恋が歌われます・・・。
シェリル・クロウがヴォーカルで参加している⑤「In the Blood」は、フォーキーで、ちょっとカントリーテイストのナンバー。
アコギのインストナンバーの⑦「Theme from 'The Search for Everything'」。アルバムのテーマソングといった感じでしょうか。ちょっと哀愁漂うフォーキーでのどかな作風。結構、メロディアスなところも気に入ってます。
⑩「Rosie」のイントロ、メロウなギターが登場してきます。ちょっとフュージョン・タッチで、ラリー・カールトンっぽいフレーズ。楽曲もR&Bにちょっとフュージョンっぽい雰囲気を加味したような感じ。間奏にも登場するメロウ&ブルージーなギターソロ、心地いい!!
⑫「You're Gonna Live Forever in Me」。エンディングはバラードです。イントロを聴いた瞬間、イーグルスの「ならず者(Desperado)」を連想してしまいました。ピアノとジョンのハスキーなヴォーカル。まるでドン・ヘンリー(そっくりとは言いませんが)。
今回ご紹介していない楽曲も、実はかなりいい感じです。というか全曲捨て曲なし…、ジョンの集大成って感じのアルバム。これだけ内容が充実しているアルバムって、最近お目にかかったことがありません。是非チェックしてみてください!