今月のレココレ(2017年4月号)、ポールの「フラワーズ・イン・ザ・ダート」の特集でしたので、このアルバムについて気になり、思わずネットで購入してしまいました。つまり私、本作については殆どスルーしておりました(苦笑)。
私が洋楽を聴き始めた頃、ポールはスティーヴィー・ワンダーとのデュエット曲「Ebony And Ivory」を大ヒットさせておりました。この曲を聴くと、当時洋楽を聴き漁っていた頃が思い出されます。アルバムでいうと「Tug Of War」(1982年発表)の頃ですね。でも当時の私はポールのアルバムにはあまり興味がなく、つまりシングルチャート専門の洋楽マニアだったもので、ついついポールのアルバムについての関心もフェードアウトしていった次第。
その後「Pipes Of Peace」、「Press To Play」とポールはアルバムを発表するのですが、商業的には失敗…。そんな中でポールはエルビス・コステロと出会い、共同作業を進めます。ポールはまず1987年11月に発表したシングル「Once Upon A Long Ago」のB面で、コステロとの共作「Back On My Feet」を発表。そして今度はコステロが1989年2月にポールとの共作「Veronica」を発表。ここでポールはビートルズ時代のトレードマークであったカール・ヘフナーのベースを弾いてます。この「Veronica」の流れを汲む形で本アルバムが発表されたのです。
確かにアルバムトップで、本作の代名詞的存在の①「My Brave Face」、すごくビートルズっぽく、かなりポップ。それでいてベースはポールらしい。高らかに復活を宣言するような1曲。PVのリンダもまだお元気だった頃。そしてこのPVからお分かりのように、かなりバンドを意識したサウンドですね。
ポールの魅了って、たくさんあり過ぎて、なかなかコレって言いづらいのですが、敢えて申せば、フォーキーな楽曲なんか魅力的ですね。ビートルズ時代は「I Will」とか「Blackbird」とか、いろいろありました。⑥「Put It There」はそんな類の1曲。ポールらしくていいですね。アップしたスタジオライブ映像、エンディングでは「Hello Goodbye」を意識した展開を付けたものですね。
本作のもうひとつのハイライト的な楽曲が⑦「Figure of Eight」。ミディアムテンポの骨太なロック。ポールもどこかシャウト気味。これがポール流のロックなんですよね。私のお気に入りの1曲。アップした映像のポールのステージングもかっこいい!当時のギタリストは、元アベレイジ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュアートです。後にポール・マッカートニー・バンドのギタリストは、元クラッキンのブライアン・レイが務めることになりますが、ポールはR&B色の濃いバンド出身のギタリストがお好みのようですね(笑)。
アレンジはロック調ですが、メロディが美しい⑧「This One」も人気の高い1曲。セッション映像をアップしておきます。これを見てもお分かりのように、ポール・マッカートニー・バンドの原型は、既にこの時点から生まれていたのでしょう。
本作ではちょっと異色の作品かもしれないのが⑫「Motor of Love」。壮大なバラードで、機械的なコーラスは、どこか10CCを連想させます。
バンドとしての活動に再び目覚めたポールの、後の精力的な活動は皆さん、ご存じの通り。そして今月、またポールが来日しますね。もうこれで見納め…と思いつつ、私も3度目のポールのライブを体験していきます。