段々歳を重ねていくうちに、ストーンズやCCR、ジョン・フォガティといったストレートで簡素なロックの良さが理解出来るようになってきました。そしてこのフェイセズもそんなバンドのひとつ。スティーヴ・マリオット率いるスモール・フェイセズもカッコいいし、過去
「Ogden's Not Gone Flake」も記事にしておりますが、やっぱりロッド・スチュアートとロン・ウッドが新たに加入した新生スモール・フェイセズ、つまりフェイセズですが、こちらが圧倒的に素晴らしい。過去のバンドの経緯についてはファーストアルバム
「First Step」やセカンドアルバム
「Long Player」の記事もご参照下さい。
元々ロニー・レイン、ケニー・ジョーンズ、イアン・マクレガンの素晴らしいバンドマンに、最高のヴォーカリストのロッドとグルーヴィーなギタリストのロンが合流したのですから、悪い筈がありません。
1971年にフェイセズは「Long Player」と本作の2枚も発表しております。内容といい、バンドとして脂が乗っていたということなのでしょう。そして本作はフェイセズの代表作「Stay With Me」が収録されていることでも有名。
もちろんスタジオ録音ですが、このジャケットが伝えているとおり、すべてがライヴ映えする楽曲で、このバンドがライヴバンドであることを実感させてくれます。①「Miss Judy's Farm」から素晴らしい!!! ロンの強烈なブギーギターにロッドのハスキー・ヴォイスが加わっただけでも鳥肌モノですが、あとの3人の演奏もグルーヴ感たっぷりで、ロックの真骨頂を余すところなく伝えてくれます。アップした映像はBBCのスタジオライヴですが、特にエンディングでのノリはこのバンドならではの迫力です。
このバンドの魅力はロッド&ロンの強力コンビにあることは多くの方々が認めるところですが、フォーキー&カントリーな魅力を伝えてくれるロニーの存在も忘れてはいけませんね。④「Last Orders Please」や⑥「Debris」はロニーの単独作品。特に「Debris」は根っこにブリティッシュ・フォークを感じさせる、哀愁漂う名曲です。もちろんロニーがリード・ヴォーカルですが、そこにハーモニーを付けるロッドがまたいい。ロンのいぶし銀ギターソロもいいですね。パーティーソングばかりやっているイメージのフェイセズですが、ブリティッシュ・フォークなフェイセズの魅力も捨て難いです。
ご存知⑤「Stay With Me」。アップした映像はこちらもBBCライヴ。ロッドのマイク捌きが世良正則を連想させます(笑)。こっちが本家ですね。ロンのスライドも冴え渡っているし、イアンのホンキートンク調のエレピもGood。この曲はエンディングでテンポアップしていくのですが、いや~、いいですね。このノリ。ベタですが、やっぱりロックはこうでなくちゃ。後にロンはローリング・ストーンズへ、イアンもストーンズのサポートメンバーとなりますし、ケニーはザ・フーへ。皆、実力者だった訳で、このグループがバンドとして素晴らしかったことを証明してくれます。
最後にチャック・ベリーのカバー⑦「Memphs」とエンディングの⑨「That's All You Need」とどちらをアップしようかと悩みましたが、やっぱり彼らのオリジナルの「That's All You Need」をアップしておきます。ちなみに「Memphs」もメンフィス・ソウルを彼らなりのアレンジで聞かせてくれます。
さて「That's All You Need」ですが、こちらはスタジオ録音バージョンをアップしておきます。なぜならここでのロンのスライドがなかなか粘着質でいいんですよ(笑)。ギターソロもひたすらスライドしてます。エンディングの♪ That's All You Need ♪のサビ、Harry Fowlerのスティールドラムが素晴らしい。
1973年、彼らは4枚目のアルバム「Ooh La La」を発表しますが、この作品はロニー色が濃く、またロッドは自身のソロ活動に忙しく、バンドメンバーとのすれ違いが生じてしまいます。そしてロニーは脱退。後釜に日本人ベーシスト、山内テツが加入しますが、結局フェイセズは解散の道を進んでいきます。