ポップスが大好きな私にとって、エリック・カルメンというアーチストはポール・マッカートニーに匹敵する位の偉大なアーチストだと思ってます。ただエリックは寡作な人なんですよね。ソロデビューが1975年。以来発表されたソロ作品は6作のみ。特にデビューから1984年発表の5枚目の「ERIC CARMEN」までは許せるにしても、今のところの最後の作品「夢の面影」が1998年発表。以降、エリックは作品を発表しておりません。
2004年にはラズベリーズを再始動させて、ライヴ活動を行っているようなので、元気であるようなんですけどね。でもファンとしては今のエリックの音楽を聴いてみたいですね。
さて、このセカンド、1977年発表。自身の初のプロデュース作品であると当時に、ウエストコーストのミュージシャンが参加した、ちょっと豪華なアルバムです。ただ気負い過ぎたのか、いつもの弾けるようなポップスが少ないのは残念ですね。
アルバムタイトルトラックでもある名曲①「
Boats Against The Current」。
フィッツジェラルドの名作「グレート・ギャツビー」から取られたタイトル。「So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past」という文章から取られたと思われます。
そしてこの曲、ラズベリーズ時代、ファーストソロと永年のパートナーだったJimmy Iennerとの決別を歌ったものなんですね。エリック自身、この曲が自分のベストソングと語っています。
後にオリビア・ニュートンジョンもカバーしてますが、やっぱりこのエリックのヴァージョンが一番。最初聴いたときは単純なバラードと思ったのですが、何回も聴いているうちに胸に染みてきました。ちなみにドラムは何とジェフ・ポーカロです。
②「Marathon Man」も結構有名な曲かもしれませんが、私の好みではありません。
何といっても仰々しいアレンジとうるさいドラムが気に入りません。ドラムはエルトン・ジョン・バンドのナイジェル・オルソンです。
ラズベリーズ時代のパワーポップを感じさせる④「Take It Or Leave It」。
というかこれはローリングストーンズやフェイセズを連想させます。気のせいか、エリックのヴォーカルはロッド・スチュアートを真似しているようにも思えますね。カッコいいロックなんですが、エリックの気負いぶりが気になります。
本作中、唯一といっていいポップなエリックの楽曲が⑥「She Did It」。この曲こそ、私が待ち望んでいたエリックなんです!
このビーチボーイズ風のコーラスアレンジはブルース・ジョンストン(もちろんビーチボーイズのメンバーのブルースです)。コーラスはブルース(目立ってます)、カート・ベッチャー、ナイジェル・オルソン等。ドラムはジェフ・ポーカロ、ギターソロはアンドリュー・ゴールドです。
ポップスの極みですね。こんな曲が書けるエリックはやっぱり天才です。イントロがなんとなくキャプテン&テニールの「愛ある限り」にそっくりですね。キャプテン&テニールはビーチボーイズのコンサートに参加していたりしていたので、ひょっとしたらブルース繋がりで似たようなアレンジになったのかもしれません。
エリック・カルメン、やっぱりいいですね。ラズベリーズの4枚はマストアイテムだし、彼のソロアルバムもどれも素敵です。フットルースで使われたマイク・レノとアン・ウィルソンの「
Almost Paradise」もエリックの曲ですが、あれもいいですよね。
本人が歌う映像があったのでアップしておきます。
メリー・クレイトン、スゴイ迫力です。ちなみにクレイトンは映画「ダーティ・ダンシング」で「Yes」という曲をヒットさせたし、エリックは「Hungry Eyes」が大ヒット。でも「Hungry Eyes」は実はエリックの作品ではありません。「ダーティ・ダンシング」の音楽プロデューサーは実はあのジミー・イエナー。ジミーがエリックにこの曲を歌ってくれないか・・・と頼んだのでした。当初は渋っていたエリックも結局はこの曲を収録することに・・・。それが大ヒットするんですから、世の中何が起こるかわかりませんね。