山下達郎をして「三種の神器」と言わしめたグッドタイムミュージックの名盤の一枚。その「三種の神器」とはピーター・ゴールウェイが関わった3作品、
「The Fifth Avenue Band」(1969)、本作、
「Peter Gallway」(1972)を指します。
これらはジョン・セバスチャンやジェームス・テイラー、オーリアンズ等を愛する方であれば、必須のアイテムといえます。
このアルバム、
MFQのメンバーであるサイラス・ファーヤーの農場にあるスタジオでレコーディングされたもので、とてもリラックスムード漂う作品となってます。ちなみにMFQのメンバーであったジェリー・イェスターは「The Fifth Avenue Band」の共同プロデューサーであり、ジョン・セバスチャンのいたラヴィン・スプーンフルのメンバーですね。つまり皆、この辺のミュージシャン等は強い絆で結ばれていたんですね。
ノックス・ファミリーのメンバーは以下の通り。
Peter Gallway (g,vo)
Paul Harris (key)
Ray Neapolitan (b)
Dallas Taylor (ds)
それにサポートメンバーに
John Sebastian (g,hca,vo)
Russ Kunkel (per)
メンバーのポール、レイ、ダラスは、サポートメンバーでもあるジョン・セバスチャンのファーストソロアルバムで顔合わせしてます。そこでピーターと意気投合したのでしょうね。
アルバムはちょっと不思議なメロディを持つ①「Taking It Easy」でスタートします。グッドタイムミュージックの始まりです。ダラスのドラムはブラシでしょうか? ピーターらしいメロディにアコースティックなアレンジが心地いいですね。意外とレイのベースがメロディアスで印象的です。
音楽の素晴らしさを歌う②「Land of Music」。「No matter how you choose it, Let the world have music」と高らかにピーターは歌ってます。これぞグッドタイムミュージック。オハイオノックスの音源のみですが、この曲だけYouTubeにありました。未聴の方は是非聴いてみて下さい。
ちなみにこの曲はピーターがフィフスを結成する前に、盟友ケニー・アルトマンと結成していたバンド、ストレンジャーズの唯一のシングル曲でした。
このアルバムのなかでは異色のサザンロックばりの④「Calamity Jane」はフィフス・アベニュー・バンドでも取り上げていた楽曲。もともとパワードラマーであるダラスの力の見せ所です^^。ピーターのギターもロックしてますね~。
小粋な⑤「There Comes a Time」はジャズタッチのアレンジ。こんな洒落たことが出来るのもピーターの魅力なんですよね。こんな曲が混じっていることは、このアルバムをより味わい深いものにさせていると思います。
いかにもジョン・セバスチャン的なジャグミュージックな⑥「Give Me John Ford」にはハーモニカでそのジョン・セバスチャンが参加してます。こんな楽曲は演奏している本人達も楽しいでしょうね~。
⑩「Abigail Archer」はワルツのリズムが楽曲に壮大なイメージを喚起させます。こんな楽曲にはダラスの仰々しいドラムがお似合い。ポールのピアノもいいですね。
ラストトラックの「North Country Laura」はピーターによると「フィフス時代、みんなでローラ・ニーロと遊び歩いていた頃に書いた」とありますので、タイトルのLauraとはローラ・ニーロのことなのでしょう。美しいバラードです。
今でこそこのアルバム、山下達郎氏の啓蒙のおかげもあり、グッドタイムミュージックの代名詞的な存在ですが、当時は商業的には全くヒットしてません。この後、ピーター自身もソロ作を発表後、失意のうちに田舎へ引っ込んでしまいます。
このアルバムには音楽の魔法が至る所に隠されておりますので、未聴の方、特にシュガーベイブのファンで本作を未聴の方は必聴盤ですので、是非聴いてみて下さい。