ティアーズ・フォー・フィアーズについては、「Shout」や「Everybody Wants to Rule the World」、それから本作収録の「Sowing the Seeds of Love」のヒット曲くらいしか認識しておらず、オフでは250円コーナーに放置されてしまっているバンドというイメージが定着しておりました。
ところが今回、たまたま本作を購入する機会があり、改めてアルバムを通して聴いてみたところ、そのポップセンスに嬉しくなると同時に、アルバムの完成度の高さに驚いてしまいました。アマゾンを覗いてみると、皆さんのコメントも大絶賛ですね。
前作「Songs From The Big Chair」の大ヒットに伴い、ツアーを重ねるにつれて、中心メンバーであるローランドとカートの仲が険悪になっていきます。そんななか、あるホテルのバーで、一人の黒人歌手の歌に感銘を受けた彼等は新たに自分達の音楽を練り直します。そして発表されたのが本作。前作発表からすでに4年が経過しておりました。また彼等に一筋の光を与えた黒人歌手こそオリータ・アダムズなんですね~。
1曲目からそのオリータがヴォーカルで参加している①「
Woman in Chains」。
静と動が効果的に用いられているソウルフルなナンバー。そもそも1曲目にこうしたシブい曲を持ってくるところに、彼等の強い自信が現れているような気がします。ちなみにドラムはフィル・コリンズ。
そして私は②「Badman's Song」のイントロにノックアウトされました。
力強いフュージョンタッチのピアノ。それに続く強烈なギターのリフ。これはかっこいい!!!
ジャズ・フュージョン・ソウル・・・。彼等の目指した音楽のひとつの姿がコレなのかもしれませんね。8分以上ある曲ですが、長さを感じさせないスリリングな展開に痺れます。
かなりかっこいいのでライヴをアップしておきます。ピアノはなんとオリータ。ヴォーカルでも参加してます。
大ヒットした御馴染みの③「Sowing the Seeds of Love」。これはもちろんリアルタイムに聴いてました。もろに後期ビートルズ、特にジョン・レノンの楽曲にインスパイアされたと思われるその曲調は、一発で気に入りました。今回久しぶりに通して聴きましたが、やっぱり名曲ですね。確か最近CMに使われた記憶がありますので、最近洋楽を聴き始めた方もご存知なのでは??
80年代のアダルトなブリティッシュサウンドの香り漂う④「Advice for the Young at Heart」。
いわゆるオシャレ系サウンドに近いものがありますが、こうした楽曲はローランドのソウルフルなヴォーカルがぴったりですね。ちょっとラテン・フレーヴァーも混じった感じもします。
観客の大歓声から入る⑦「
Year of the Knife」は擬似ライヴで、スピード感溢れるナンバー。②「Badman's Song」をよりハードにしたナンバー。ビートも強烈です。
https://www.youtube.com/watch?v=UdcJOZqRTFMこの素晴らしい名盤はもちろん大ヒットを記録しますが、ローランドとカートの仲は、やはり修復することは出来ず、このアルバムのツアー後にカートは脱退してしまいます。そしてそれから14年。紆余曲折ありましたが、2004年に2人はまたティアーズ・フォー・フィアーズとして活動を再開したとのこと。ただ発表されたアルバムは、日本では未発売のようですね。