1970年、ブリンドルというバンドが結成されました。メンバーはリンダ・ロンシュタットとストーン・ポニーズを組んでいたケニー・エドワーズ、そしてアンドリュー・ゴールド、ウェンディ・ウォルドマン、カーラ・ボノフの4人組。
結局シングルを1枚発表したのみでグループは解散。ウェンディがソロ作を発表。続いてアンドリューもソロ作を発表し、ケニーは再びリンダのバックを務めることとなります。特にケニーは皆さんご存知のように、後にリンダの黄金時代を支えた重要人物と見做されるに至ります。
残りのカーラはどうしたのか? 1976年発表のリンダのアルバム「Hasten Down The Wind」でカーラの楽曲が3曲も採用されました。もちろん盟友ケニーの後押しがあったのですが、やはりそれ以上にカーラの魅力的な楽曲がリンダの心を捉えたのでしょう。
このことがきっかけで漸くカーラ自身もアルバムを発表することが出来ました。プロデュースはケニーです。
リンダが採用した3曲はこのデビューアルバムにも収録されています。それが①「Someone To Lay Down Beside Me」、③「Lose Again」、⑦「If He's Ever Near」。③はカーラのピアノソロ、⑦はカーラのアコギと、非常に素朴な演奏なアレンジとなってます。カーラに関するいろいろな批評を見てみると、楽器の演奏能力に疑問を呈する意見を見ることがあります。③や⑦についてもプロとしてどうか? とのコメントを拝見しましたが、私は個人的には全くそうは思いません。③や⑦は人の心を打つ楽曲ですから、その演奏能力に疑問を呈すること自体ナンセンスと思うのですが如何でしょう。
特に⑦「
If He's Ever Near」は大好きな1曲。バックコーラスはグレン・フライとJ.D.サウザー、そしてケニーです。味わい深い曲ですね。
④「
Home」はワルツのリズムが郷愁を誘うカントリーソング。
スティール・ギターはリンダやJTでは御馴染みのダン・ダグモア。ドラムのJohn.A.Wareなる人物に見覚えがあるなあと思ったら、モンキーズのマイク・ネスミスのバンド(ファーストナショナルバンド)のドラムにJohn Wareが居ました。リンダはマイクの唄を歌ったことがあるので、恐らくそのJohnだと思われます。
②「I Can't Hold On」と同様、ポップなナンバーの⑥「Isn't It Always Love」は、繊細で美しいメロディを奏でるカーラの別の一面がよく現れてます。
アンドリュー・ゴールドのレゲエ調のリズムギターがいいですね。コーラスにはウェンディが参加。
軽快な⑧「Flying High」はスティーヴ・ファーガソン作。
ドラムはブレッドのドラマーとして活躍したマイケル・ボッツ。ちょっとカントリーフレーバー溢れるこのテの楽曲は個人的に大好きです。
華やかなリンダに地味なカーラ。それから10数年後、カーラのライヴにリンダがコーラスで参加している映像がありました。楽曲は4枚目のアルバム「New World」からの1曲、「
Tell Me Why」。歌いだしを間違えてしまうカーラ。そしてカーラの容姿は変わらないのにリンダは・・・(笑)。
https://www.youtube.com/watch?v=sGHZro2e16g華のないアルバムかもしれません。でも確実に永く聴いていけるアルバム。またケニーを中心としたブリンドルメンバーの友情が伝わってきます。
寡作ですがカーラのアルバムはどれも素晴らしいですね。